金属並みの熱伝導性を備えたゴム複合材料を開発

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フレキシブル電子デバイスの放熱シートなど、やわらかな熱マネジメント材料に

2020-02-17    産業技術総合研究所

ポイント

  • 2種類の繊維状カーボンでネットワークを構築し、金属に匹敵する高い熱伝導率を実現
  • ゴムの原料に環動高分子を用いることで、繊維状カーボンを大量に添加してもゴム弾性を維持
  • フレキシブル電子デバイス用の熱層間材や放熱シートなどの熱マネジメント材料として利用可能

概要

国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ【ラボ長 雨宮 慶幸】タフコンポジット材料プロセスチーム 伯田 幸也 ラボチーム長、後藤 拓 リサーチアシスタント(東京大学大学院新領域創成科学研究科 大学院生)と国立大学法人 東京大学【総長 五神 真】(以下「東大」という)大学院新領域創成科学研究科 寺嶋 和夫 教授 (産総研 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ 特定フェロー)らは、カーボンナノファイバー(CNF)とカーボンナノチューブ(CNT)の2種類の繊維状カーボンと、環動高分子のポリロタキサンを複合化させて、ゴムのように柔軟で、金属に匹敵する高い熱伝導性を示すゴム複合材料を開発した。

従来、高分子への分散が困難であった繊維状カーボンを、水中プラズマ技術で表面改質して分散性を高め、さらに、高分子と複合化する過程で交流電界をかけてCNFを配列させた。その結果、CNFの配列方向では14 W/mKという高い熱伝導性を示し、柔軟性を併せ持つゴム複合材料を実現した。今回開発したゴム複合材料は、フレキシブル電子デバイスの熱層間材や放熱シート、放熱板などへの応用が期待される。

なお、この技術の詳細は、2020年2月14日に国際誌Composites Science and Technologyに掲載された。

概要図

CNFを配列させた高熱伝導性ゴム複合材料の模式図

開発の社会的背景

近年、フレキシブル電子デバイス用の熱層間材や放熱シートなど高い放熱性を示す柔軟な熱マネジメント材料が注目を集めている。これらには、高い熱伝導性に加えて、低ヤング率、高引張強度、高靭性などの機械的特性が求められるため、次世代の熱伝導性フレキシブル材料として、柔軟なゴム素材と熱伝導性の高いCNFやCNTとの複合材料が精力的に研究開発されている。しかし、CNTの熱伝導率は2,000 W/mKを超えるにもかかわらず、複合材料の熱伝導率2 W/mKを達成するのに、10 wt%の添加が必要とされる。また、多量のCNFを添加すると複合材料の柔軟性が失われて脆くなる。一般に、繊維状カーボンは凝集性が強く、複合材料中に一様に分散しにくいため、繊維状カーボン同士が互いに接触してつながった熱伝導のネットワークを複合材料全体にわたって形成するのは困難であった。また、大きな繊維状カーボン凝集体とゴム素材との界面が変形時の破壊の起点となり、脆化の要因のひとつとなっている。

研究の経緯

産総研・東大 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリでは、環動高分子をマトリックスとした複合材料の開発を進めており、ポリロタキサンに水中プラズマにより表面改質した窒化ホウ素粒子を加えて、しやなかで放熱性に優れたゴム材料を開発した(2018年3月6日産総研プレス発表)。ポリロタキサンは、直鎖高分子(ポリエチレングリコール)と、その上で動く環状分子(シクロデキストリン)とからなる超分子の一種で、その環状分子を架橋点とするゴムは、極めて低いヤング率と高い靭性を示す。水中プラズマ処理により表面に水酸基などの官能基を導入した窒化ホウ素粒子はポリロタキサンとの親和性が改善され、熱伝導性のゴム複合材料が得られた。その熱伝導率は2 W/mKと比較的高かったが、今回、より高く金属に匹敵する熱伝導率のゴム複合材料の開発に取り組んだ。

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