スマート治療室への5G接続実験に国内で初めて成功

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熟練医が遠隔地から脳外科などの高度医療手術支援を実現

2019-11-29 広島大学,株式会社NTTドコモ

 国立大学法人広島大学(以下、広島大学)と株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、第5世代移動通信方式(以下、5G)をスマート治療室(以下、SCOT®)※1に適用した遠隔医療支援フィールド実験について、11月11日(月)に国内で初めて成功致しました※2。これにより、従来難しかった緊急の脳外科手術などで熟練医が不在の時でも移動先などの遠隔地から高度医療支援を行うことが可能となり、全国で社会問題化している医師偏在の解消など地域医療における課題解決の実現につなげてまいります。

 今回の実証実験は、広島大学病院内にあるSCOTとドコモ中国支社内に設置した「モバイル戦略デスク」間を5Gで接続し、SCOT内で脳外科手術を行う執刀医に対して、遠隔地に設置したモバイル戦略デスク側の熟練医がリアルタイムで遠隔手術支援を行うシステムの5Gによる接続性を検証いたしました。

 SCOTは手術室のMRIなど数多くの医療機器から入力された手術映像やバイタルデータを含む多様な手術データを統合的に連携・可視化し、手術精度や安全性を向上する高度医療システムです。これまでSCOTおよび戦略デスクは広島大学病院内でローカルエリア接続されていましたが、大容量の手術データを、5Gを介してリアルタイムで双方向にやりとりするのは国内では初の試みとなります。

 今回の実証実験は、5月9日に広島大学とドコモが締結した「次世代移動通信方式5G等を活用した研究協力に関する協定書」※3に基づき医療分野でのフィールド実験を行ったものです。なお、2020年春をめどに、広島大学を5Gエリア化し今回の実験プラットフォームの本格運用に向けた検証を行っていく予定です。

 本実験実施に当たり、SCOTの実用化を推進する学校法人東京女子医科大学、各医療機器を接続するミドルウェアOPeLiNK®(オペリンク)※4を提供する株式会社OPExPARK(オペパーク)※5の協力を得て、実験システムの設置と実験の運営を行いました。

 今回の実証実験を通じて、脳外科手術のような高度医療に対しても5Gの活用により、例えば交通事故などで脳外科の緊急手術が必要な時に、専門医がいない場合でも、熟練医が遠隔からアクセスして手術支援を行うことが可能となります。

 広島大学とドコモは、社会問題化している医師偏在の解消による医療水準の平準化や全国の地域医療における課題解決、Society 5.0※6の実現に貢献してまいります。

※1 SCOT:Smart Cyber Operating Theater®の略で、東京女子医科大学が主導して、広島大学や信州大学などの5大学、デンソー、日立製作所など11社と共に、IoTを活用して各種医療機器・設備を接続・連携させ、手術の進行や患者の状況を統合把握する「戦略デスク」の導入により、手術の精度と安全性を向上させる「スマート治療室」。同様の治療室が東京女子医科大学ほか、広島大学、信州大学などに導入されている。 ※2 ドコモ調べ。

※3 国立大学法人広島大学と株式会社NTTドコモとの次世代通信方式5G等を活用した研究協力に関する協定書の締結について https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/chugoku/page/190509_00.html

※4 OPeLiNK(オペリンク):デンソーウェーブ社の産業用ミドルウェアORiN(Open Resource interfacefor the Network)を医用に転用したもので、通信規格やメーカーを問わず、各機器を接続・統合できる。

※5 株式会社OPExPARK(オペパーク):デンソーとBeyond Next Venturesが設立したOPeLiNKを事業展開する事業会社。

※6 Society5.0とは、政府が提唱する未来社会のコンセプト。IoTによりサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を連携し、すべての物や情報、人を一つにつなぐとともに、AI等の活用により量と質の全体最適をはかる社会のことです。

*SCOT、Smart Cyber Operating Theaterは、学校法人東京女子医科大学の登録商標です。

*OPeLiNKは、株式会社OPExPARKの登録商標です。

本件に関する報道機関からのお問い合わせ先

株式会社NTTドコモ

第二法人営業部第四営業メディカル担当

国立大学法人広島大学病院特命広報・調査担当役

別紙

実証実験の概要

1. 実験内容

・ 広島大学キャンパス診療棟のSCOTとドコモ中国支社に設置したモバイル戦略デスク(医局)を5Gネットワークで接続、MRIや手術顕微鏡の高精細画像や患者のバイタルデータなどを伝送、戦略デスク側に送信

・ 遠隔地にいる熟練医がモバイル戦略デスクの情報を基に操作介入により手術支援

・ データ伝送時のスループット(単位時間当たりの処理量)やSCOT操作時の使用感に関する定量・定性評価を検証

<現在の環境>

<今回の実証実験>

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