プレッツェルのような双子星の「へその緒」

ad
ad

2019-10-18   国立天文台

アルマ望遠鏡による観測で、まるでプレッツェルのような形に広がる物質に取り囲まれた双子の赤ちゃん星の姿が描き出されました。この宇宙プレッツェルは、いわば双子星の「へその緒」であり、双子星の成長過程でどのように物質が星たちに取り込まれていくのかを調べるうえで、たいへん貴重なデータとなることでしょう。

A Cosmic Pretzel

アルマ望遠鏡が撮影した、双子原始星[BHB2007] 11のまわりをプレッツェルのように取り巻くガスと塵。双子原始星が互いの周囲を回りあうことにより、ガスと塵が複雑な形に広がっています。

Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Alves et al.

今回観測された双子の赤ちゃん星は、へびつかい座のパイプ星雲の中にあります。タバコを吸うパイプの形に似たこの星雲のなかで、吸い口にあたる場所にあるのが暗黒星雲バーナード59です。ここには小さな星団があり、その中でも最も若いのが、今回観測された[BHB2007] 11という符号をもつ原始星です。これまでも、[BHB2007] 11のまわりのガスのようすは観測されてきましたが、高い解像度を持つアルマ望遠鏡の観測によって、星のすぐそばのガスの分布が初めて詳しく明らかにされました。

今回の観測チームを率いたフェリペ・アルブス氏(マックスプランク地球外物理学研究所)は、「真ん中に見える二つの点が、双子星のすぐそばを取り巻いているガスと塵の円盤だと考えています。それぞれの円盤のサイズは、太陽系で言えば火星と木星のあいだにある小惑星帯と同じくらいです。ふたつの円盤の間隔は、地球と太陽の間隔のおよそ28倍です」とコメントしています。この間隔は、太陽系では太陽と海王星の間隔に相当します。

このふたつの星周円盤は、さらに大きく複雑な形のリングに取り囲まれています。それはもはや円盤というよりは、ハート形あるいはプレッツェルのような細長い塵とガスの帯といったほうが良いかもしれません。この環の質量は、木星80個分に及びます。研究チームの一員で、マックスプランク地球外物理学研究所のマネージング・ディレクターであるパオラ・カセリ氏は、「これは本当に重要な結果です。私たちは初めて、母体となるガス雲と双子原始星をつなぐ『へその緒』のような構造を発見したのです。この『へその緒』づたいに流れてくるガスや塵を取り込むことで、星たちは成長していくのです。」と語っています。

原始星がガスや塵を取り込む過程は、2段階に分けられます。まず初めに、撮影されている範囲よりも外側から、今回明らかになった複雑な形の『へその緒』を通ってそれぞれの星のまわりの円盤にガスや塵が流れ込みます。画像では下側に見えている星周円盤のほうに、より多くの物質が降着し電波で明るく輝いています。その次の段階として、円盤からその中央にある原始星に物質が取り込まれます。

アルブス氏は「この連星系のまわりの物質は、とても複雑な動きをしながら、それぞれの星に2段階のプロセスを経て降着しているのだと私たちは考えています。この観測結果は理論的な研究結果ともよく一致していますが、多重連星系がどのように作られるのかを理解するためには、他の若い連星系の観測をもっと行う必要があります」と語っています。

この記事は、欧州南天天文台のPhoto Release “A Cosmic Pretzel - Twin baby stars grow amongst a twisting network of gas and dust”をもとに作成しました。

タイトルとURLをコピーしました