測量船「海洋」による新規海底基準点の設置
2019-07-30 海上保安庁
海上保安庁は、南海トラフ想定震源域における海底地殻変動観測を強化するため、海底基準点を新設します。新設に先立ち、測量船「海洋」 と海底に設置する観測装置「海底局」を公開いたします。
海上保安庁は、巨大地震発生の可能 性が指摘されている南海トラフの想定震源域において、プレートの動きを精密に測定する海底地殻変動観測を実施しています(図1、図2)。
当庁では、想定震源域全域における 海底地殻変動観測をさらに強化すべ く、プレートが沈み込み始める想定震 源域南端の海域に海底基準点を展開します。今年度は、右図に示す4地点に海底基準点を設置し、来年度以降も順次展開していく予定です。
海底地殻変動観測の強化により、想定震源域全域での固着状態やその変化を把握し、「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会(気象庁)」や「地震調査研究推進 本部」等における南海トラフ地震の評価検討に資することが期待されます。
8月に実施する測量船「海洋」の観測航海では、海底地 殻変動観測強化に向けた最初の海底基準点を、紀伊半島南 西沖に設置します。
図1.海底地殻変動観測の概念図
測量船の位置を決定する GNSS 測位*と、音波による測量船-海底局間の距離計測デー タから、海底基準点の位置(海底局の中心位置)を決定します。観測を長期間繰り返 し実施することで、年間数センチメートルの海底の動きを捉えます。
* GNSS(全球測位衛星システム)とは、GPS や準天頂衛星等の衛星測位システムの総称です。
図2.南海トラフ沿いの海底地殻変動観測結果(平成 28 年度広報資料より加筆) これまでの観測から、想定震源域でのプレート間の固着状態が推定されています。海 底地殻変動観測の強化により、より広範囲での観測を目指します。