食品鮮度センサーが消費期限表示に代わり食品廃棄物量を低減

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2019/6/5 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドン

(Food freshness sensors could replace ‘use-by’ dates to cut food waste)

・ インペリアル・カレッジ・ロンドンが、食品の鮮度を判別する紙ベースの電子ガスセンサー、 PEGS(paper-based electrical gas sensor)を開発。低コスト、生分解性で安全に使用できる。

・ 英国の消費者の 3 人に 1 人が消費期限に従って食品を廃棄しているが、125 億ポンドに相当する毎年廃棄される食品のうちの 60%(420 万トン)は安全に消費できる。同センサーは食品の損傷を検出し、スーパーマーケットや消費者による食品廃棄物排出量の低減に貢献する。

・ PEGS は、市販のセルロース紙にカーボンインクで電極を印刷し、近距離無線通信(near field communication: NFC)タグと組み合わせたもの。研究室用プロトタイプ PEGS の作製にかかるコストは、 1 個当たり$2 セント。

・ PEGS は、肉や魚が腐敗して放出するアンモニアやトリメチルアミンを検出。センサーデータはスマートフォンで読み取り可能。スマートフォンを食品パッケージにかざすだけで消費の安全性を確認できる。

・ パッケージに入った魚と鶏肉の研究室での試験では、PEGS は微量の腐敗ガスを既存センサーに比してより高速・正確に検出。鮮度や消費適性判断の信頼性に欠ける消費期限日を将来的に代替して食品廃棄物量を低減し、安価で小売業者が導入し易いため食品価格の低減も期待できる。スーパーマーケットへの 3 年以内の導入を見込む。

・ 食品鮮度を判別する既存のセンサーは、日常的な使用には高価過ぎる(パッケージングコストの 1/4 を占める)か、読み取りが難しい。色の変化で判別するタイプのセンサーでは、微小な色変化でも食品が廃棄される傾向があり、実際に排出量を増加させる。

・ PEGS は安価で電気的な読み取りで容易に判別できることに加え、湿度 100%の環境(ほとんどのセンサーでは 90%超で作動が困難になる)や、室温下でほとんどエネルギーを使わずに食品の腐敗によるガスを選択的に検出する。

・ PEGS の製造プロセスはシンプルであるため、スクリーンプリンティングやロール・ツー・ロールプリンティング等の既存のプリンティング技術を利用した大量製造へのスケールアップが可能と考える。

・ 食品の他に農薬、空気のクオリティや、呼気中の腎臓疾病マーカーの検出等のアプリケーションも可能と考えるが、その前に低湿度での感度の調査を実施する。異なる化学物質を個別に検出するセンサーアレーも開発中。

・ 本研究には、英国工学・物理科学研究会議(EPSRC)が資金を提供した。

URL: http://www.imperial.ac.uk/news/191413/food-freshness-sensors-could-replace-use-by/

(関連情報)

ACS Sensors 掲載論文(フルテキスト)

Cellulose Fibers Enable Near-Zero-Cost Electrical Sensing of Water-Soluble Gases

URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acssensors.9b00555

<NEDO海外技術情報より>

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