「小牧隕石」として国際隕石学会に登録されました

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愛知県小牧市に落下した隕石の分類を確定 「小牧隕石」として国際隕石学会に登録されました

2019年2月27日

独立行政法人国立科学博物館
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立極地研究所
国立大学法人九州大学

独立行政法人国立科学博物館、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立極地研究所、国立大学法人九州大学は、昨年9月26日に愛知県小牧市に落下した隕石を分析し、分類をL6普通コンドライト(球粒隕石)と確定しました。また、この隕石は国際隕石学会に「小牧隕石(Komaki)」として登録されました。

  • 2018年9月26日(水)22時30分頃、愛知県小牧市の民家に隕石が落下した。
  • 宇宙線生成核種からのガンマ線を検出し隕石であることを確認した。
  • 鉱物組成の分析などにより、分類をL6普通コンドライト(球粒隕石)と確定した。
  • 国際隕石学会に「小牧隕石(Komaki)」として登録された。

破片を組み合わせて元の形を復元(左写真:上面、右写真:下面)

これまでの経緯

2018年9月26日(水)22時30分頃、愛知県小牧市の民家で大きな音がして、翌朝調べてみると屋根に大きなえぐれた跡があり、庭とテラスに黒い破片が発見されました。また、隣家のカーポートの屋根に穴が開き、止めてあった車の屋根にもへこみができていて、玄関前に黒い破片が発見されました。国立科学博物館によるガンマ線測定の結果、宇宙線により生成する放射性核種(宇宙線生成核種)のアルミニウム-26(半減期約70万年)、ナトリウム-22(半減期約2.6年)、マンガン-54(半減期312日)などを検出しました。これにより最近落下した隕石であることが確認されました。

隕石組織観察と鉱物組成分析

国立極地研究所にて主資料(重さ550g)から保存・分析用試料約20gを取り、その内の約1gの小片から研磨薄片を作成し、光学顕微鏡による組織観察および電子線マイクロアナライザによる鉱物組成(かんらん石、輝石、自然ニッケル鉄)の分析を行いました。光学顕微鏡による隕石組織の観察と鉱物組成の分析結果から、小牧隕石は普通コンドライト(球粒隕石)に分類されました。普通コンドライトにはH, L, LLの3つの化学的グループがありますが、詳細な鉱物組成からLグループであることが分かりました。また、隕石組織の観察で比較的粗粒(>50μm)の斜長石が見られたことから、岩石学的タイプは6であることが分かりました。この組み合わせは「L6コンドライト」と呼ばれます。L6コンドライトは最多のコンドライトグループで、日本に落下した隕石では直方隕石(861年落下)、薩摩隕石(1886年落下)、美濃隕石(1909年落下)など、最近では国分寺隕石(1986年落下)、美保関隕石(1992年落下)、根上隕石(1995年落下)がこのグループになります。

カンラン石中の鉄/(鉄+マグネシウム)比(モル%)と金属鉄中のコバルト含有量(重量%)の相関図(国立極地研究所)

希ガス分析

九州大学において0.05gという少量の試料から希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン)の分析を行いました。アルゴンの分析から形成年代(K-Ar年代)が44±2億年前であるという結果が得られました。つまり、小牧隕石が形成された年代は、太陽系が形成された46億年前の直後ということになります。また、ネオンの分析から宇宙線照射年代が2510±60万年と得られました。宇宙線照射年代は隕石が元の天体から別れて小さなかけらとなった期間を表します。多くのLコンドライトは2000〜3000万年の照射年代を示し、小牧隕石も同様でした。この時期にLコンドライトの元の天体が衝突で壊れて小さなかけらがたくさんできたと考えられます。

国際隕石学会への登録

上述の分析結果を添えて、この隕石の名称を「小牧隕石(Komaki)」として国際隕石学会へ登録申請を行いました。隕石の名称は落下地にちなんだものを付けることになっていますので、小牧市から取ったものです。学会の命名委員会(Nomenclature Committee)において、審査・投票が行われ、2月15日に承認・登録されました。

隕石の公開

2月19日(火)より3月17日(日)まで国立科学博物館において「科博ニュース展示」として、隕石が衝突した屋根の一部などとともに公開しています。その後、名古屋市科学館において展示・公開される予定です。

研究メンバー

米田成一 (国立科学博物館 理工学研究部 理化学グループ長)
山口亮 (国立極地研究所 地圏研究グループ 准教授、極域科学資源センター 南極隕石ラボラトリー キュレーター)
今栄直也 (国立極地研究所 地圏研究グループ、極域科学資源センター 南極隕石ラボラトリー 助教)
木村眞 (国立極地研究所 極域科学資源センター 南極隕石ラボラトリー 特任教授)
岡崎隆司 (九州大学大学院 理学研究院 地球惑星科学部門 助教)

写真

主資料(左写真:上面、右写真:下面)

主資料(側面)

破片を組み合わせて元の形を復元(左写真:上面、右写真:下面)

薄片の光学顕微鏡写真(左から、透過光、透過光(クロスポーラー)、反射光)。写真の幅は実際には4.67 mm。

1703地質
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