TIRによるリュウグウのサーモグラフィ

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2018/08/31 JAXA,はやぶさ2プロジェクト

「はやぶさ2」搭載の中間赤外カメラ(TIR)による観測を行っています。図1は、リュウグウ上空20 km(ホームポジション)からTIRで撮像したサーモグラフィです。

図1 中間赤外カメラ(TIR)によって観測された小惑星リュウグウ。撮像日時は2018年6月30日16:02~23:45(JST)で、8分毎に1自転分撮影した。リュウグウ上空20 km(ホームポジション)からの撮影で、1ピクセルあたり約20mである。また、このときの太陽距離は0.987au(1au:太陽と地球の年平均距離で約1.496億km)。
画像クレジット※:JAXA/足利大学/立教大学/千葉工業大学/会津大学/北海道教育大学/北海道北見北斗高校/産業技術総合研究所/国立環境研究所/東京大学/ドイツ航空宇宙センター/マックスプランク研究所/スターリング大学

1自転分撮像しましたが、赤い色が温度の高い地域を表しており、特徴的な地域の温度変化を捉えることができています。熱画像の特徴は、可視画像だと日陰でみえない領域まで見えるので、全体形状がよく分かることや、大きなクレータや巨大な岩塊など特徴的な地形も温度の違いとして見えることです。

また、南北の温度差が見えます。自転軸の傾きによって太陽光の照射量に南北差ができるためで、現在は図の上側(南半球)が夏で温度が高く、図の下側(北半球)が冬で温度が低くなっています。小惑星の「季節変化」があることがTIRによって観察されました。

高温の場所でおよそ100℃、低温の場所で室温程度でした。温度は小惑星の太陽距離によっても変化し、太陽から遠ざかると温度は冷えていくことになります。

はやぶさ2ミッションでは、表面温度の違いから表層の物質の特徴を調べることによって、小惑星の形成過程の究明に取り組みます。またTIRのデータから着陸地点として科学的に重要なミリメートル大の粒径のある場所を探したり、はやぶさ2が着陸するのに苛酷な温度環境や岩塊のような障害物のある場所を避けるための検討を進めてゆきます。

参考:TIRチームのメンバーである荒井武彦さんの記事(足利大学Webより)
※ 画像を引用する場合にはクレジットを記載してください。もしクレジットの短縮が必要な場合は「JAXA、足利大学など」と表記してください。

 

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