2018-03-13 防災科学技術研究所
新燃岳2018年3月噴火について、3月9日16:00頃の爆発による火山灰、3月9日夜~10日早朝にかけて堆積した火山灰、10日午後に採取した火山灰を実体顕微鏡で観察した。その結果、三試料中ともに3月6日午後~7日午前に多く見られた軽石状粒子の割合が大きく減少し、発泡に乏しい角張った粒子の割合が増加していることが分かった(図)。
このことから、爆発的噴火は3月6日-7日から9日-10日にかけて、比較的深部から上昇したガスに富むマグマが噴出するものから、火道浅部に位置するガスに乏しいマグマが噴出されるものへ変化したことを示唆している。これは表面現象が、活発にマグマを噴き上げる噴火から断続的な噴火へと移行したことと調和的である。今後も火山灰を継続的に観察することで噴火活動の変遷を調べる予定である。
謝辞:3月9日16:00頃の噴火の火山灰は東京大学大学院理学系研究科・森俊哉准教授によって採取されたものである。記して感謝の意を表する。
図)火山灰の実体顕微鏡写真。黄色字のPは代表的な軽石質粒子を、赤字のDは発泡に乏しい角張った粒子の代表的な物を示す。写真の横幅は約5.1mm。クリックすると拡大画像が開きます。