ポリマー半導体トランジスターで最高のスイッチング特性を実現

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界面トラップを不動態化する分子機構を確認し高性能化に指針

2021-10-12 東京大学,科学技術振興機

ポリマー半導体トランジスターで最高のスイッチング特性を実現

ポイント
  • 高撥液なフッ素樹脂層上に高均質に塗布製膜し内因的/外因的トラップの密度を極小化
  • 高急峻なスイッチング特性・高いバイアス耐性・低電圧安定駆動を同時に実現
  • 実用的な逆コプラナー型素子構造により高精細配線と統合した印刷製造技術を確立

東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻の北原 暁 大学院生(研究当時)、井川 光弘 特任研究員、松岡 悟志 助教、荒井 俊人 講師、長谷川 達生 教授らの研究グループは、ポリマー半導体による薄膜トランジスター(TFT)のスイッチングの鋭さと安定性を決定づける要因を解明し、これを元に従来にない高急峻なスイッチング動作・高いバイアス耐性・低電圧駆動を同時に示す、実用的な塗布型TFTの構築に成功しました。

ポリマー半導体は、優れた加工性や堅牢性により、フレキシブルエレクトロニクスの実現に向けた有望材料として期待されています。しかし、ポリマー半導体を用いた薄膜トランジスター(TFT)は、急峻で安定したスイッチング動作を得ることが難しく、それら特性の改善が課題となっていました。本研究では、キャリアの動きを阻害しスイッチング特性を劣化させるトラップが、ポリマー半導体層内部や半導体-絶縁層界面近傍に潜むことをつきとめ、その発生を抑え込む技術を開発しました。これにより、高精細な電極配線印刷技術と統合した実用性の高い逆コプラナー型デバイス構造において、従来にない極めて高急峻なスイッチングと、高いバイアス耐性による安定した低電圧駆動を示す塗布型TFTの開発に成功しました。

本研究成果は、ドイツ科学誌 「Advanced Functional Materials」に2021年10月12日(火)(中央ヨーロッパ夏時間)に掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST「実験・計算・データ科学融合による塗布型電子材料の開発」(研究代表者:長谷川 達生、JPMJCR18J2)、JST研究成果最適展開支援プログラム A-STEP(JPMJTR202N)、JSPS科研費基盤研究(A)(18H03875)、JSPS科研費若手研究(19K15432)、JSPS科研費基盤研究(B)(19H02579)、JSPS科研費特別研究員奨励費(20J10479)および東京大学 大学院工学系研究科 リーダー博士人材育成基金特別助成プログラム LDPPによる支援を受けて行いました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Approaching Trap-Minimized Polymer Thin-Film Transistors”
DOI:10.1002/adfm.202105933
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
長谷川 達生(ハセガワ タツオ)
東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻 教授

<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

星 潤一(ホシ ジュンイチ)
科学技術振興機構 産学連携展開部 研究支援グループ

<報道担当>
科学技術振興機構 広報課

0403電子応用
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