グラフェンに転換したタイヤで強靱なコンクリートを作る (Tires turned into graphene that makes stronger concrete)

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2021/3/29 アメリカ合衆国・ライス大学

グラフェンに転換したタイヤで強靱なコンクリートを作る (Tires turned into graphene that makes stronger concrete)

・ ライス大学が、ゴムタイヤの廃棄物をグラフェンに変換するプロセスを最適化し、コンクリートの強化に利用する技術を開発。
・ コンクリートは世界で最も多く生産されている材料で、その製造で排出される CO2 は全世界で 9%を占める。リサイクルタイヤ廃棄物はポートランドセメントの構成要素としてすでに使用されているが、セメント混合材料であるコンクリートをグラフェンが分子レベルで強化することが知られている。
・ 毎年廃棄処理されている 8 億本のタイヤの大部分は、燃料として燃焼や他のアプリケーション用に粉砕され、16%が埋め立て処理されている。これらを僅かでもグラフェンとして回収できれば、数百万本のタイヤの埋め立て処理を回避できる。
・ 2020 年に同大学が開発したフラッシュプロセスでは、食品・プラスチック廃棄物や他の炭素源を電気衝撃に晒すことで炭素原子を取り出す。炭素原子は、グラファイトからの剥離によるグラフェンよりも溶解し易く、複合材料で利用できる乱層構造のグラフェンに再構築される。
・ 食品やプラスチックの廃棄物に比べ、ゴムをグラフェンに変換することは困難であるが、タイヤからの熱分解廃棄ゴムを使用した変換プロセスの最適化で対処。廃棄タイヤからの有用な成分抽出後の炭素残渣を有効活用する。
・ タイヤ由来のカーボンブラックまたは粉砕したゴムタイヤ、市販のカーボンブラックは、同フラッシュプロセスでグラフェンに変換できる。乱層グラフェンは溶解し易いため、セメントに混合して環境により優しいコンクリートが製造できる。
・ タイヤ由来のカーボンブラックではその約 70%、カーボンブラックを添加して導電性を高めた粉砕したゴムタイヤではその約 47%が、フラッシュプロセスによりそれぞれグラフェンに変換されたことを確認。炭素以外の成分は他の用途に分離。
・ 電気パルスは 300 ミリ秒~1 秒の間継続し、グラフェン変換プロセスの消費電力は出発原料の炭素1 トンあたり約$100 となる。
・ 微量のタイヤ由来のグラフェン 0.1wt%(タイヤ由来のカーボンブラック)と 0.05wt%(カーボンブラックを添加した粉砕ゴムタイヤ)をそれぞれポートランドセメントに混合してコンクリートの円筒を作製。7 日間の養生後、両円筒で圧縮強度が 30%超向上。28 日後には 0.1wt%のグラフェンが両円筒で少なくとも30%の強度向上に役立つことがわかった。強度向上の一部は、2D グラフェンの種まき効果によるセメント水和生成物の成長促進と後期の強化作用によるものと考える。
・ 本研究は、米国空軍研究所(AFOSR)および米国エネルギー省(DOE)の国立エネルギー技術研究所(NETL)が支援した。
URL: https://news.rice.edu/2021/03/29/tires-turned-into-graphene-that-makes-stronger-concrete/

<NEDO海外技術情報より>

(関連情報)

Carbon 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Flash Graphene from Rubber Waste
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0008622321003249?via%3Dihub

Abstract

Most conventional production processes for graphene are time-consuming, solvent-intensive, and energetically demanding. To circumvent these limitations for mass production, flash Joule heating (FJH) has been shown to be an effective method to synthesize graphene. Here, methods for optimizing production of graphene from rubber waste feedstocks are shown. Through careful control of system parameters, such as pulse voltage and pulse time, turbostratic flash graphene (tFG) can be produced from rubber waste. It is characterized by Raman spectroscopy, X-ray diffraction and thermogravimetric analysis. The resulting tFG can be easily exfoliated and dispersed into various solvents because of its turbostratic arrangement. Addition of tFG into Portland cement results in a significant increase in the compressive strength of the composite. From a materials perspective, FJH offers a facile and inexpensive method for producing high quality tFG from rubber waste materials, which would otherwise be disposed of in landfills or burned for fuel. FJH allows for upcycling of low-value rubber waste into high-value carbon nanomaterials for use as reinforcing additives.

0501セラミックス及び無機化学製品
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