2020-08-18 新エネルギー・産業技術総合開発機構
NEDOは、廃プラスチックを適正に処理し、資源として循環させるための革新的なプロセス技術開発事業に着手します。
本事業は、廃プラスチックについて【1】最適な処理方法に振り分けるための選別技術、【2】元のプラスチック材料と遜色ない材料に再生する技術、【3】分解して石油化学原料に転換する技術、【4】材料や原料への再生が困難な廃プラスチックを焼却し高効率にエネルギーを回収・利用する技術の開発を連携して行います。
この技術の適用により、2030年度までに、これまで国内で再資源化されていなかった廃プラスチックのうち、約300万トン/年を有効利用し、資源循環へ貢献します。
図 本事業の概要
1.概要
先進諸国のプラスチックごみを受け入れてきたアジア新興諸国では近年、廃プラスチックを適切に処理できないとして輸入規制が強化されました。また、陸域から流出した廃プラスチックが、海洋プラスチックごみ問題として世界的な課題となっています。こうした中、日本では「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」(2019年5月31日策定)や「プラスチック資源循環戦略」(2019年5月31日策定)が策定され、2035年までにリユース・リサイクルなどにより、全ての使用済みプラスチックを有効利用することなどのマイルストーンが提示され、対応を進めています。その中でも「革新的リサイクル技術の開発」が重点戦略の一つとして掲げられました。
現状、約900万トン/年の廃プラスチックのうち、再生品への利用(マテリアルリサイクル)は約210万トン/年(内、約90万トン/年は海外へ輸出)、コークス炉やガス化の原料(ケミカルリサイクル)として約40万トン/年リサイクルされており、固形燃料、発電、熱利用の熱エネルギー回収(エネルギーリカバリー)に約500万トン/年となっています※。しかしながら、アジア新興諸国の輸入規制などの外部環境の変化や、SDGs、ESG投資などで拡大するリサイクルプラスチックの利用ニーズに応えていくためには、廃プラスチックの資源価値を高めることで経済的な資源循環を達成することが必要です。そのため、リサイクル技術をさらに発展させ資源効率性を向上させるとともに、付加価値を生み出しつつ二酸化炭素排出を削減することが求められています。
こうした背景から、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、廃プラスチックを適正に処理し、資源として循環させるための革新的なプロセス技術開発事業に着手します。本事業では、廃棄されたプラスチックについて【1】最適な処理方法に振り分けるための選別技術、【2】元のプラスチック材料と遜色ない材料に再生する技術、【3】分解して石油化学原料に転換する技術、【4】材料や原料への再生が困難な廃プラスチックを焼却し高効率にエネルギーを回収・利用する技術の開発を連携して行います。
この技術の適用により、2030年度までに、これまで国内で再資源化されていなかった廃プラスチックのうち、約300万トン/年を有効利用し、資源循環へ貢献します。
2.事業内容
事業名:革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発
<研究開発項目【1】 高度選別システム開発>
- 内容:
- 複合センシング・人工知能(AI)、ロボットなどを利用して、種類が多く、複合化などで混ざり合ったものや、汚れた廃プラスチックを、高速・高精度に各処理プロセスに最適に自動選別する技術を開発します。
<研究開発項目【2】 材料再生プロセス開発>(マテリアルリサイクル)
- 内容:
- プラスチックは加工工程や使用状況に応じて劣化するため、選別した廃プラスチックを元のプラスチック材料と遜色ない材料に戻すには課題が多いのが現状です。本研究開発では、劣化要因を解明するとともに、それらに立脚した材料再生・成形加工技術を開発します。
<研究開発項目【3】 石油化学原料化プロセス開発>(ケミカルリサイクル)
- 内容:
- 汚れや複合材料化などにより元のプラスチック材料への再生が困難な廃プラスチックを主な対象とし、既存の石油精製・石油化学設備などを活用して廃プラスチックを分解し石油化学原料に転換する技術を開発します。
<研究開発項目【4】 高効率エネルギー回収・利用システム開発>(エネルギーリカバリー)
- 内容:
- マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルによる再生処理が困難な廃プラスチックを主な対象とし、単純に焼却するのではなく、燃焼によるエネルギーを効率よく回収して利用する技術を開発します。
事業期間:2020年度~2024年度(予定)
事業予算:35億円(予定)
【注釈】
- ※ 出典:一般社団法人プラスチック循環利用協会”プラスチックリサイクルの基礎知識2020”
- プラスチックリサイクルの基礎知識2020
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 環境部 担当:磯部、山田、大和田、阿部(正)
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:佐藤、鈴木(美)、坂本