太陽電池材料合成方法のブレイクスルーで不可能を可能に

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(In Breakthrough Method of Creating Solar Cell Material, NREL Scientists Prove the Impossible Really Isn’t)

2019/12/13 アメリカ合衆国・国立再生可能エネルギー研究所(NREL)

太陽電池材料合成方法のブレイクスルーで不可能を可能に

・ NREL が、独自に開発したディレクト・ハイドライド気相成長(D-HVPE)リアクタにアルミニウムを取り込んで、リン化アルミニウムインジウム(AlInP)とリン化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInP)半導体の成膜に初めて成功。

・ 従来的な HVPE 法によるこれらの化合物の生成が不可能とされていたため、Ⅲ-Ⅴ属半導体産業の多くはその種類の結晶成長技術に適した有機金属気相成長(MOVPE)に方向転換した。

・ 高効率だが高価なため宇宙アプリケーションで利用されているⅢ-Ⅴ属化合物半導体太陽電池では、コスト低減に向けた技術開発が進む。その技術の一つとして、NREL は新しい結晶成長技術である D-HVPE 法を開発している。

・ 1980 年代に MOVPE 法が登場し、それまで LED や光検出器の製造に最適とされてきた従来的な HVPE 法を代替。両プロセスとも基板に化学蒸着するものだが、2 種類の半導体材料間にヘテロ界面を形成する MOVPE 法が優位となった。

・ 初期のHVPE法では、一つのチャンバーで一種類の化学物質を基板に蒸着してから取り出し、別種の化学物質を用意してから基板を再びチャンバーに戻して蒸着。D-HVPE法では複数のチャンバー間で基板を移動できるため、プロセス時間が大幅に低減。MOVPE 法では 1~2 時間かかっていた単一接合太陽電池の成膜は、D-HVPE 法では 1 分以内に完了する。

・ MOVPE 法では、太陽電池の効率を向上させる、アルミニウムを含んだワイドバンドギャップの材料ができるが、HVPE 法では、アルミニウムを含んだ前駆体である一塩化アルミニウムの化学的性質によりそれが難しい。

・ NRELは,D-HVPE法にアルミニウムを取り入れる蒸着技術を段階的に開発。研究チーム一員の出向元の Kyma Technologies 社が、D-HVPE チャンバーに取り込むことのできる、アルミニウムを含んだ分子の生成方法を開発した。

・ 400℃の加熱で固体アルミニウムと塩化水素から三塩化アルミニウムを生成。三塩化アルミニウムは、一塩化の状態よりも HVPE リアクタで安定する。塩化ガリウムや塩化インジウムは 800℃で気化させ、これら 3 種類の化学物質を統合して 650℃で基板上に蒸着した。

・ NREL が D-HVPE 法で作製したガリウムヒ素(GaAs)とリン化ガリウムインジウム(GaInP)による太陽電池では、フォトンから電気への変換が起こる GaAs 吸収層に太陽光を届かせるため、GaInP の「ウィンドウ層」が透明であることが重要。しかし、GaInP は MOVPE 法による太陽電池の AlInP ほどの透過性をもたない。AlInP のウィンドウ層を統合した MOVPE 法による GaAs 太陽電池の現在のエネルギー変換効率は 29.1%。一方、HVPE 法による GaInP のみのものでは 27%。

・ より低コストな D-HVPE 法にアルミニウムが加わったことで、より高コストな MOVPE 法による太陽電池に匹敵する変換効率の達成が可能と考える。

・ 本研究には、米国エネルギー省(DOE)の Solar Energy Technologies Office が資金を提供した。

URL: https://www.nrel.gov/news/program/2019/breakthrough-method-creating-solar-cell-scientists-prove-impossible-is-not.html

(関連情報)

Applied Energy Materials 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)

Growth of AlGaAs, AlInP, and AlGaInP by Hydride Vapor Phase Epitaxy

URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsaem.9b02080

<NEDO海外技術情報より>

Abstract

Abstract Image
We demonstrate hydride vapor phase epitaxy (HVPE) of AlxGa1–xAs, AlxIn1–xP, and AlxGayIn1–x–yP using an AlCl3 precursor. We study the growth of the AlxGa1–xAs alloy system to elucidate the effects of deposition temperature, V/III ratio, and group V precursor species on Al solid incorporation via AlCl3. Crucially, the presence of group V hydride at the growth front kinetically promotes the solid incorporation of Al. We use these insights to demonstrate controlled deposition of AlxGa1–xAs, and for the first time by HVPE, AlxIn1–xP and AlxGayIn1–x–yP. These results create exciting implications for HVPE-grown high-efficiency III–V solar cells and devices with reduced cost.

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