2018-03-07 宇宙航空研究開発機構
2018年3月6日14時27分以降、霧島山(新燃岳)では、爆発的噴火が断続的に発生するなど、噴火活動が活発化しました。
JAXAは、気象庁の静止気象衛星ひまわり8号の観測を用いて火災のモニタリングを実施していますが、これにより、新燃岳の爆発的な噴火の前に生じた地熱異常を捉えました。
今回の爆発的な噴火4時間ほど前、6日10時頃から新燃岳火口付近に継続的に高温部が生じ、その結果、10時から夕刻まで地熱異常が捉えられました。5日21時頃から火山性微動の振幅が増大して噴煙量も増加し、6日7時頃からは空振を伴う地震もみられるなど、火山活動の活発化が見られており、この活動と整合するものと考えられます。
火口付近からは、火山灰が数時間にわたり継続的に放出され、鹿児島空港を含む鹿児島県南部へ数10kmにもおよび広範囲に飛散する様子もみられます。
図1の動画は、2018年3月6日7時から3月6日19時(日本時)の霧島山(新燃岳)周辺の可視画像に火災検出アルゴリズムで自動検出された箇所を赤く識別したものです。
図1 JAXAひまわりモニタによる2018年3月6日7時~3月6日19時(日本時)の地表面反射率と火災検出(地熱異常検出)箇所変化【動画】
また、JAXAでは「火山噴火予知連絡会衛星解析グループ」(火山ワーキンググループ)より緊急観測の要請を受け、日本時間2018年3月6日23時30分頃に「だいち2号」(ALOS-2)に搭載されているLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2: パルサー2)で観測を行いました。図2は3月6日に「だいち2号」によって撮像された強度画像です。図の赤枠が新燃岳を表しています。図3は新燃岳の火口内の様子です。左は3月6日に撮像された画像、右は噴火前の2017年10月31日に撮像された画像です。火口内に溶岩ドームが形成されている様子が見えます。
図2 「だいち2号」によって2018年3月6日に撮像されたPALSAR-2の強度画像。赤枠は新燃岳の位置を表す。
図3 新燃岳火口付近の拡大図。左が今回観測された画像、右が2017年10月31日に観測された画像。赤の点線は今回の噴火によって形成されたと考えられる溶岩ドーム。
JAXAひまわりモニタは、雲、火山灰やPM2.5などの大気微粒子(エアロゾル)、海水面温度、といった、地球環境の様子を10分ごとに推定し、表示しています。その中に林野火災も含まれ、毎日地球を見守っています。
最新のJAXAひまわりモニタの画像については、以下URLで公開していますので、ご覧ください。
http://www.eorc.jaxa.jp/ptree/index_j.html