2019-03-19 環境省
また、これまでのモニタリング結果等を踏まえて、越境大気汚染・酸性雨長期モニタリング計画の一部改訂を行いましたので併せて公表します。
1.経緯
環境省では昭和58年度(1983年度)(当時環境庁)から酸性雨モニタリングを開始し、これまで大気、土壌・植生、陸水の各項目について、我が国の酸性雨の実態及びその影響の評価等を行ってきました。また、国際的にも、東アジア地域において国際協調に基づく酸性雨対策を推進していくため、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)を我が国から提唱し、平成13年(2001年)から本格稼働(EANETには現在13カ国(カンボジア、中国、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、フィリピン、韓国、ロシア、タイ、ベトナム)が参加)しています。
環境省は、広域的かつ長期的な酸性雨モニタリングを継続的に実施していくため、中・長期的な方向性を示すものとして、平成14年(2002年)に「酸性雨長期モニタリング計画」を策定し、その後、平成21年(2009年)には、越境大気汚染問題への関心の高まりを受け、酸性沈着のみならず、オゾンやPM2.5等の粒子状物質も対象に加え、計画の名称を「越境大気汚染・酸性雨長期モニタリング計画」に改めました。平成26年(2014年)には、PM2.5モニタリングの拡充等を行い、現在までモニタリングを継続しています。
2.報告書の概要
報告書の概要については別紙1のとおりです。
酸性雨の状況については、日本の降水は引き続き酸性化した状態であり、欧米及び東南アジア各国の平均値と比べてpHは低いものの、近年の中国における大気汚染物質排出量の減少とともに、日本の降水pHの上昇(酸の低下)の兆候がみられます。モニタリング対象湖沼の水質をみても硫酸イオン濃度及び硝酸イオン濃度は低下傾向となっています。また、森林生態系については、大気汚染が原因とみられる森林の衰退などは、現状では確認されていません。
3.長期モニタリング計画の改訂
我が国の国内発生源及び越境大気汚染・酸性雨の実態と影響について精度を維持するとともに合理化を図りつつ継続して把握するため、今回、モニタリング地点の見直し、PM2.5の成分分析の実施等を含めて「越境大気汚染・酸性雨長期モニタリング計画」の一部改訂を行いました(別紙2参照)。
4.今後の対応
引き続き、改訂した長期モニタリング計画に基づいて、酸性雨原因物質、オゾン、PM2.5等の大気汚染物質について、国内発生源のみならず、長距離越境輸送や長期トレンド、特に降水酸性度の推移を注視しながら、モニタリングを継続していきます。また、越境大気汚染や酸性沈着の影響の早期把握や将来の影響を予測するため、EANETと密接に連携しつつ、大気及び生態影響モニタリングを実施していきます。
連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
添付資料
別紙1 越境大気汚染・酸性雨長期モニタリング報告書(平成25〜29年度)の概要 [PDF 1.3 MB]
別紙2 越境大気汚染・酸性雨長期モニタリング計画(平成31年3月改訂) [PDF 887 KB]