2021-12-10 京都大学
前田啓一 理学研究科准教授、川端美穂 同研究員、姜継安 東京大学特任研究員を含む京都大学、東京大学、広島大学などの研究者からなる研究グループは、特異なIa型超新星の爆発直後からの観測と理論計算を組み合わせた研究により、これが通常のIa型超新星とは異なる進化過程を経て爆発したものであることを明らかにしました。
本研究グループは東京大学木曽観測所の1.05m木曽シュミット望遠鏡に搭載されたTomo-eGozen(トモエゴゼン)カメラを用いた観測により、Ia型超新星の爆発から5時間以内にパルス状の閃光が現れる様子を捉えることに初めて成功しました。さらに、本学岡山天文台のせいめい望遠鏡を用いた観測により、今回観測されたIa型超新星が通常のものより明るい特異なIa型超新星であることを突き止めました。これらのデータをもとにシミュレーションによる解析を行い、爆発した白色矮星の周囲に存在した大量の物質と超新星爆風が衝突したことで初期閃光が生じたことを明らかにしました。
Ia型超新星がどのような機構によって爆発するかは未だ多くの疑問が残されています。今回の発見は、Ia型超新星の爆発機構の謎を明らかにする手がかりとなると共に、通常とは異なる特異なIa型超新星の起源に迫る成果になると期待されます。
本研究成果は、2021年12月8日に、国際学術誌「TheAstrophysicalJournalLetters」に掲載されました。
図:Ia型超新星 Tomo-e202004aaelb(SN 2020hvf)を取り囲む星周物質と超新星放出物質の衝突の想像図(Credit:東京大学木曽観測所)
研究者情報
研究者名:前田啓一
研究者名:川端美穂