触媒シーズ創出に向けた自動特徴量設計技術を開発 ~事前知識なしで未知材料の機能を高精度に予測~

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2024-01-12 北陸先端科学技術大学院大学,北海道大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 機械学習を用いた材料の機能予測において、経験的な側面を排除した特徴量設計技術を開発
  • 事前知識を必要とせず、さまざまな触媒系のスモールデータに対して圧倒的な予測精度
  • 機械学習を用いた材料探索の裾野を大きく広げ、材料シーズ創出を飛躍的に効率化

北陸先端科学技術大学院大学 物質化学フロンティア研究領域の谷池 俊明 教授らは、北海道大学 大学院理学研究院の髙橋 啓介 教授らと共同で、機械学習を用いた材料の機能予測において、事前知識を必要とすることなく高精度な予測を実現する、特徴量設計技術を開発しました。

最近、AIやその他の機械学習技術を利用して、触媒などの実用材料に関する研究開発を加速させる取り組みが注目されています。これには、機械を訓練するためのデータと、材料を記述し機能を予測するための変数(記述子)が必要です。中でも、未知材料の機能を高精度に予測するには、機能に影響する因子を効率的かつ網羅的に取り入れた、材料記述子の存在が必要不可欠です。従来、この記述子は、対象に関する高度な専門知識(事前知識)に基づいて研究者が手ずから設計してきました。しかし、これは裏を返せば、真新しい、ないしは、非常に複雑などの事由により、知識の蓄積が十分でない対象に対しては、本来最も望まれるにも関わらず、機械学習の活用には大きな制限がありました。

本研究では、対象に対する事前知識を一切必要とせず、数十点程度の訓練データに対して機能する汎用(はんよう)的な特徴量設計技術を開発しました。これは、考え得る大量の記述子候補、すなわち仮説を生成し、目的にかなった記述子を機械に選ばせる、いわば仮説スクリーニング技術です。本研究では、この開発技術が、対象とする触媒反応によらず、従来技術を圧倒する予測精度を与えることや、ハイスループット実験と再帰的に組み合わせることで、膨大な候補材料から多様なシーズをピンポイントで見つけられることを示しました。本研究の成果は、機械学習を用いた材料探索の裾野を大きく拡大し、材料シーズ創出の飛躍的な効率化に役立つことが期待されます。

本研究成果は、2024年1月12日(英国時間)に英国の科学誌「Communications Chemistry」のオンライン版で公開されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST)「未来社会創造事業 探索加速型(No.JPMJMI22G4)」、「戦略的創造研究推進事業 CREST(No.JPMJCR17P2)」の支援を受けたものです。

<プレスリリース資料>
  • 本文 PDF(1MB)
<論文タイトル>
“Automatic feature engineering for catalyst design using small data without prior knowledge of target catalysis”
DOI:10.1038/s42004-023-01086-y
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
谷池 俊明(タニイケ トシアキ)
北陸先端科学技術大学院大学 物質化学フロンティア研究領域 教授

<JST事業に関すること>
幸本 和明(コウモト カズアキ)
科学技術振興機構 未来創造研究開発推進部

安藤 裕輔(アンドウ ユウスケ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>

北陸先端科学技術大学院大学 広報室
北海道大学 社会共創部 広報課 広報・渉外担当
科学技術振興機構 広報課

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