量子光学で光バネの硬化に成功 ~次世代重力波望遠鏡での応用に期待~

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2024-04-05 東京工業大学,科学技術振興機構

量子光学で光バネの硬化に成功 ~次世代重力波望遠鏡での応用に期待~

ポイント
  • レーザー光が鏡を押す力を復元力とする光バネを、量子光学で扱う非線形光学効果を応用して硬くすることに世界で初めて成功。
  • レーザー光の光量を増やさずに、信号成分を増やして応答を向上させる信号増幅を導入。
  • 次世代重力波望遠鏡の高周波感度を向上させる技術への応用などに期待。

東京工業大学 科学技術創成研究院の小田部 荘達 特任助教と理学院 物理学系の宗宮 健太郎 准教授らの研究チームは、量子光学の技術を応用して光バネを硬くすることに世界で初めて成功した。

光バネは、向かい合わせに配置した鏡の間の空間にレーザー光がため込まれる光共振器において、レーザー光が鏡を押す力を復元力として用いる振動子である。機械振動子のような熱ゆらぎがほとんどないため、微小信号計測のための究極のプローブ(測定器を構成する要素のうち物理量を感知する部分)として注目されている。光バネを硬くすることができれば、鏡の振動の抑制や、高周波の測定が可能になり、プローブとしてのユーティリティもさらに向上する。しかし、従来の光バネの硬さには光量で決まる上限が存在していた。

本研究では、量子光学で扱う技術である非線形光学効果を導入し、光量は変えずに信号成分を増やす方法によって、光バネを硬くすることに世界で初めて成功した。

研究チームはこの技術を、時空のさざ波である重力波をとらえる次世代の重力波望遠鏡に応用することを提案している。特に現在の重力波望遠鏡では観測できない、中性子星の連星合体後に放出される重力波をとらえるには、今回開発したような光バネを硬くする技術が有望である。

今回の研究は、東京工業大学 理学院 物理学系の臼倉 航 大学院生、鈴木 海堂 大学院生、東京大学 理学系研究科の小森 健太郎 助教、カリフォルニア工科大学の道村 唯太 研究員、早稲田大学 理工学術院の原田 健一 研究院講師らとの共同研究として行われた。

本研究成果は、2024年4月4日付(現地時間)の「Physical Review Letters」誌に掲載され、その号のエディターズ・サジェスチョンに選ばれた。

本研究は、科学技術振興機構(JST)とフランス国立研究機構(ANR)の日仏共同提案研究 CREST(JPMJCR1873)、日本学術振興会(JSPS) 特別研究員奨励費(20J22778)、住友財団助成によって支援されたものである。

<プレスリリース資料>
  • 本文 PDF(1.28MB)
<論文タイトル>
“Kerr-Enhanced Optical Spring”
DOI:10.1103/PhysRevLett.132.143602
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
宗宮 健太郎(ソウミヤ ケンタロウ)
東京工業大学 理学院 物理学系 准教授

小田部 荘達(オタベ ソウタツ)
東京工業大学 科学技術創成研究院 特任助教

<JST事業に関すること>
安藤裕輔(アンドウ ユウスケ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>
東京工業大学 総務部 広報課
科学技術振興機構 広報課

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