擬エントロピーからの時間軸の創発~ホログラフィック・エンタングルメントエントロピーの一般化~

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2023-01-20 京都大学

瀧祐介 基礎物理学研究所博士課程学生、土井一輝 同修士課程院生、Jonathan Harper 同研究員、Ali Mollabashi 同研究員、高柳匡 同教授の研究グループは、ドジッター宇宙に対するホログラフィー原理を考察し、3次元ドジッター宇宙における時間的な測地線の長さが、その重力理論に対応する量子物質の理論(共形場理論)の「擬エントロピー」と呼ばれる量の虚数部分に相当することを見出しました。擬エントロピーは、量子エンタングルメントの強さを測るエンタングルメント・エントロピーを一般化した量で、始状態と終状態の二つの異なる状態に依存する量です。このことから、ドジッター宇宙の時間軸がホログラフィー原理を通じて、量子物質の擬エントロピーから創発することが期待されます。さらに、エンタングルメント・エントロピーを定義する際の部分系を時間的にとることで「時間的エンタングルメント・エントロピー」を導入し、この量も擬エントロピーの一種とみなせることを明らかにしました。さらに、この時間的なエンタングルメント・エントロピーは、ホログラフィー原理を用いて3次元反ドジッター宇宙における測地線を用いて幾何学的に計算できることを示しました。

本研究成果は、2023年1月19日に、国際学術誌「Physical Review Letters」にオンライン掲載されました。

擬エントロピーからの時間軸の創発~ホログラフィック・エンタングルメントエントロピーの一般化~

研究者のコメント

「ドジッター宇宙のホログラフィー原理の謎の多くは、対応する共形場理論にドジッター宇宙の時間方向が含まれていないことに起因しており、その結果、多くの物理量が虚数値をとってしまいます。本研究では、エンタングルメントエントロピーを擬エントロピーに一般化することで虚数部分も含んだホログラフィックな対応関係を発見することができました。これを突破口として、ドジッター宇宙のホログラフィー原理の構造、そして、宇宙創成のメカニズムについて解明していきたいと思います。」

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:髙柳 匡

1701物理及び化学
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