2022-08-22 京都大学
分子工学専攻の秋山みどり助教(研究当時東京大学特任助教)、東京大学の杦山真史大学院生、野崎京子教授、AGC株式会社岡添隆上席特別研究員らの研究グループは、分子工学専攻の東雅大准教授及び広島大学の駒口健治准教授との共同研究により、全ての頂点にフッ素原子が結合した立方体型分子「全フッ素化キュバン」を初めて合成し、その内部に電子を閉じこめた状態を観測することに成功しました。
全ての頂点にフッ素原子が結合した多面体型分子は、その内部に電子を受けとることが理論的に予想されていましたが、合成は達成されていませんでした。本研究グループは、AGC株式会社が開発したPERFECT法を用いて、世界で初めて全フッ素化キュバンの合成に成功しました。また、この分子の内部に電子を閉じこめた状態を観測することにも成功しました。本成果は、電子を受けとる機能性分子の設計指針に新たな可能性を示すものです。
本研究成果は、2022年8月11日(米国東部夏時間)に米国科学誌「Science」のオンライン版に掲載されました。
図 全フッ素化キュバンに与えられた電子の分布
論文情報
【タイトル】
Electron in a cube: synthesis and characterization of perfluorocubane as an electron acceptor
【著者】
Masafumi Sugiyama, Midori Akiyama*, Yuki Yonezawa, Kenji Komaguchi, Masahiro Higashi, Kyoko Nozaki, and Takashi Okazoe
【掲載誌】Science
【DOI】10.1126/science.abq0516