揺さぶりをかける:機械学習による振動の安定性予測(Shaking things up: Using machine learning to predict vibrational stability)

ad

2023-02-07 オーストラリア連邦研究会議(ARC)

◆振動の安定性を迅速かつ正確に予測する機械学習プログラムにより、新物質発見のための膨大な時間が節約できるようになった。
◆科学者は何百万もの理論的な化合物を選んで実験することができるが、これらの提案された物質の多くは、振動的に不安定であるため、現実には決して存在しない。生成エネルギーで示される熱力学的安定性に関する情報は、材料データベースで容易に入手することができる。しかし、従来の方法で未知の化合物の振動安定性を計算すると、化合物の大きさによってはスーパーコンピューターで何百時間も処理する必要があった。
◆このたび、オーストラリアの研究者たちが、この計算を短時間で行う方法を開発しました。
◆ディーキン大学のExciton Science Associate InvestigatorであるSherif Abdulkader Tawfik Abbas博士が率いる研究チームは、大規模なデータベースから比較的単純な材料約3,100個の一部を選び出しました。そして、これらの基本的な物質の振動安定性を計算で求めた。
◆この結果を用いて機械学習モデルを学習させたところ、より複雑な化合物を含む膨大な数の候補物質の振動安定性を正確に予測できるようになった。
◆このモデルは、わずか数秒である程度の精度の結果を出すことができます。このモデルは、フォトニクス、医療用超伝導、エネルギー、プログラマブル材料などの分野で活躍する研究者にとって、重要な情報を生み出す可能性がある。この成果は、当初は無機結晶の振動安定性と構造に着目していましたが、Nature誌のComputational Materialsに掲載され、こちらで閲覧できます。
◆なお、機械学習モデルの学習に使用する部分集合に含まれる物質の大部分が振動的に安定していることが判明し、プログラムが安定方向に偏ってしまう恐れがあったのです。この問題を解決するため、SherifとA²I²は、学習過程で不安定な材料の影響を人為的に増大させ、公平な予測を行うことのできるバランスのとれた機械学習プログラムを完成させました。

<関連情報>

機械学習による振動安定性材料の探索 Machine learning-based discovery of vibrationally stable materials

Sherif Abdulkader Tawfik,Mahad Rashid,Sunil Gupta,Salvy P. Russo,Tiffany R. Walsh & Svetha Venkatesh
Computational Materials  Published:11 January 2023
DOI:https://doi.org/10.1038/s41524-022-00943-z

揺さぶりをかける:機械学習による振動の安定性予測(Shaking things up: Using machine learning to predict vibrational stability)

Abstract

The identification of the ground state phases of a chemical space in the convex hull analysis is a key determinant of the synthesizability of materials. Online material databases have been instrumental in exploring one aspect of the synthesizability of many materials, namely thermodynamic stability. However, the vibrational stability, which is another aspect of synthesizability, of new materials is not known. Applying first principles approaches to calculate the vibrational spectra of materials in online material databases is computationally intractable. Here, a dataset of vibrational stability for ~3100 materials is used to train a machine learning classifier that can accurately distinguish between vibrationally stable and unstable materials. This classifier has the potential to be further developed as an essential filtering tool for online material databases that can inform the material science community of the vibrational stability or instability of the materials queried in convex hulls.

0500化学一般
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました