長時間・大面積の超解像ラマンイメージングを実現 ~電子デバイス材料の評価や生体分子観察への応用に期待~

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2022-07-16 徳島大学,大阪大学,科学技術振興機構

長時間・大面積の超解像ラマンイメージングを実現 ~電子デバイス材料の評価や生体分子観察への応用に期待~

徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所 加藤 遼 特任 助教、矢野 隆章 教授、および大阪大学 大学院工学研究科 森山 季 (大学院生(当時))、馬越 貴之 講師、Prabhat Verma 教授らの研究グループは、従来法に比べ12倍以上長い時間の測定が可能な超解像ラマンイメージング顕微鏡を開発しました。

超解像ラマン顕微鏡(TERS)は、分子の種類や状態を1分子レベルで同定できるため、さまざまな分野への応用が期待されています。しかし、従来のTERS顕微鏡は、顕微鏡のドリフトの影響により測定時間が30分程度に制限されるため、観察可能な物質や測定範囲が限られていました。

今回、共同研究グループは、TERS顕微鏡のドリフトの影響をリアルタイムで補正する機構を新たに開発することで、従来法と比べて12倍以上長く安定した超解像ラマンイメージングを達成しました。この長時間超解像ラマンイメージングにより、電子デバイスへの応用が期待される新材料の二硫化タングステン(WS)が持つナノメートルサイズの欠陥構造の同定や欠陥占有率の評価を、実際の電子デバイスと同規模の大面積(4,000,000平方ナノメートル以上)で実施することに成功しました。本手法は、トランジスターを始めとするさまざまな電子デバイスに応用される材料の欠陥評価や、長い測定時間を要するためこれまで困難であったたんぱく質などの生体分子の観察に応用できると期待されます。

なお、本研究成果は、2022年7月15日(米国東部標準時)公開の「Science Advances」誌に掲載される予定です。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 ACT-X「環境とバイオテクノロジー」(研究代表者:加藤 遼、JPMJAX21B4)、さきがけ「量子技術を適用した生命科学基盤の創出」(研究代表者:馬越 貴之、JPMJPR19G2)、創発的研究支援事業(研究代表者:矢野 隆章、JPMJFR202I)の支援を一部受けて実施されました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Ultrastable tip-enhanced hyperspectral optical nano-imaging for defect analysis of large-sized WS2 layers”
DOI:10.1126/sciadv.abo4021
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
加藤 遼(カトウ リョウ)
徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所

馬越 貴之(ウマコシ タカユキ)
大阪大学 大学院工学研究科 物理学系専攻

<JST事業に関すること>
宇佐見 健(ウサミ タケシ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 先進融合研究グループ

<報道担当>
徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所 事務室
大阪大学 工学研究科 総務課 評価・広報係
科学技術振興機構 広報課

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