商業施設・公共機関での人物探索に最適なロバスト人物探索技術を開発

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様々な映像シーンに適した探索属性を自動選択することで迅速かつ正確な人物探索を実現

2020-10-16 株式会社富士通研究所

株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)は、商業施設や公共機関、街中など複数個所に設置された防犯カメラの映像から同一人物を自動で高精度に探索できるロバスト人物探索技術を開発しました。

例えば、不審者や迷子などを探索する場合、目撃情報を手掛かりに複数箇所に設置された防犯カメラの膨大な映像データから対象者の属性を抽出して同一人物であるか関連付けし、足取りを調べる必要がありますが、カメラの設置位置により人物の映り方が異なる場合や、時間の経過により服装や持ち物などが変わる場合があるため、映像解析の専門家が人の性別や服装などの最適な探索属性を映像シーンごとに人手で選択する必要があり、同一人物の関連付けに膨大な工数を要していました。

今回、人の服装などから得られる約100種類の静的属性に、映像から人の様々な行動を認識するAI「行動分析技術 Actlyzer」(注2)を活用して得られた約100種類の動的属性を新たに加え、過去の映像シーンに含まれる全属性からその映像シーンに最適な探索属性をAIに学習させることで、新規の映像シーンにおいても最適な探索属性を自動選択する技術を開発しました。また、本技術を当社の独自データで評価したところ、90%以上の人物探索精度を達成しました。

本技術を活用することで、これまで専門家による人手で行っていた探索作業の工数が大幅に削減できるとともに、安心安全なまちづくりに貢献(注3)していきます。

本技術の詳細は、10月16日(金曜日)に神戸国際会議場で開催される国際会議「GCCE 2020 (2020 IEEE 9th Global Conference on Consumer Electronics)」にて発表します。

開発の背景

防犯カメラの映像は、商業施設や公共機関などにおける不審人物や迷子の探索に広く活用され、対象者の発見の手がかりとなる重要なデータとして取り扱われています。近年、より迅速かつ正確な情報を取得することを目的に、防犯カメラの設置台数は増加傾向にあり、それに伴う映像データの増大、および映像解析時間などに膨大な工数を要しており、AIを活用した防犯カメラ映像の解析技術の開発が期待されています。

課題

複数の防犯カメラ映像から、対象とする人物の探索を行う場合、従来は、深層学習を用いて防犯カメラの映像から、人物の性別、年齢層、服装などの全身特徴、顔特徴、歩容特徴といった多くの探索属性を用いて同一人物の関連付けを行っていました。しかし、それらの探索属性を用意しても、対象とする映像シーンによって、同一人物の関連付けに最適な探索属性が異なってしまうという問題がありました。例えば、時間が経過した映像から対象者を探索する場合は、服装や持ち物が変わってしまうことがあるため、それらの探索属性を使った判定方法では、同一人物の関連付けを行うことができないケースがあります。このような場合は、歩容特徴など時間に影響を受けない探索属性を選択する必要がありますが、映像シーンごとに専門家の人手で最適な探索属性の選択と同一人物の関連付けを行う作業は、膨大な時間を要するため、対象者発見の遅れに影響する懸念があり、これらの課題を解決する映像解析技術開発が求められています。

開発した技術

今回、複数の防犯カメラから取得した人物情報を活用し、専門家の知識がなくても自動で高精度な人物探索を実現する技術を開発しました (図1)。

開発した技術の特長は以下のとおりです。

様々な映像シーンから人物探索に最適な探索属性を自動選択する技術

様々な映像シーンでの人物探索を可能にするため、人の服装などから得られる約100種類の静的属性に、人の行動から得られる約100種類の動的属性を加えた約200種類の探索属性を推定します。さらに、過去の映像シーンで推定した人物の全属性とその人物を探索するために専門家が選択した属性の種類をAIに学習させ、自動選択モデルを作成します。新規の映像シーンおいても、推定した全属性を自動選択モデルに入力することで、そのシーンに最適な探索属性を自動選択することが可能になります。

本技術により、例えば、複数の防犯カメラ映像において、防犯カメラの設置位置と人物との距離が遠い場合は服の色、時間経過が大きい場合は歩容、身体が隠れてしまっている場合は耳の形状といったように、映り方や時間の経過による変化に応じて最適な探索属性を自動で選択します。

図1 ロバスト人物探索技術の概要
図1 ロバスト人物探索技術の概要
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効果

時間経過を想定し、独自の服装の変化がある人物データセットによる自社評価において、90%以上の人物探索精度を達成しました。本技術の活用により、様々な防犯カメラ映像からの様々なシーンにおいて、映像解析による人物探索が可能になり、迅速かつ正確な人物探索が可能になります。

今後

当社は、2021年度中の実用化に向けて、本技術のさらなる精度向上を目指します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈
注1 株式会社富士通研究所:
本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 原 裕貴。
注2 「行動分析技術 Actlyzer」:
映像から人の様々な行動を認識するAI技術「行動分析技術 Actlyzer」を開発(2019年11月25日プレスリリース)。
本技術は、AI画像解析ソリューション「FUJITSU Technical Computing Solution GREENAGES Citywide Surveillance(グリーンエイジズ シティワイド サーベイランス)」の行動検知として商品化されています。
注3 安心安全なまちづくりに貢献:
人に関するデータを取り扱う場合は、プライバシーに対する配慮を行い、適切な対策を講じます。
本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
デジタル革新コア・ユニット

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