2020-10-16 京都大学
土佐尚子 総合生存学館特定教授は、鮮やかな色彩の絵の具などの粘性液体に音の振動を与えて各種の色が融合しつつ飛び上がる様を2000フレーム/秒の高速度カメラで撮影するビデオアート制作手法「流体アート」を開発し、この手法を用いた代表的なビデオアートとして「サウンドオブ生け花」を制作しました。そして、本手法を用いて、新生児の産声のアートを作り出す「産声byサウンドオブ生け花」プロジェクトを開始しました。
本プロジェクトは、新生児の産声を、「サウンドオブ生け花」を制作する際の音の振動源として用いるものです。これまでの「サウンドオブ生け花」制作では、安定的な振動源として主としてサイン波を用いていました。そのため、産声を用いるにあたって、音の大きさや絵の具の粘性などの各種のパラメータの調整が必要でした。調整の結果、生命の誕生のエネルギーを表現した、世界でひとつだけの産声の生け花、世界でひとつだけのアートを作り出すことに成功しました。
本プロジェクトは、アートイノベーションの社会実装の具体例として、コロナ禍中の社会に明るいニュースを与えます。また、新生児の両親に新しい出産記念の形を提案し、すでに個々の新生児の産声の特徴に対応する美しいアートが作り出されています。さらに、足立病院(京都市)、凸版印刷株式会社、京大オリジナル株式会社と共同で、ビジネスとしての展開も開始しています。今後は、宇宙時代の到来を睨んで、無重力化での「産声byサウンドオブ生け花」の生成に取り組む予定です。
本研究成果は、2020年8月5日に発表されました。
書誌情報
京都新聞(8月11日夕刊 1面)に掲載されました。