降水によるバイオエアロゾル大気放出の新証拠
2020-10-01 京都大学
五十嵐康人 複合原子力科学研究所教授(茨城大学理学部特命研究員)、北和之 茨城大学教授、林菜穂 同博士課程学生、木名瀬健 気象研究所リサーチ・アソシエイト、足立光司 同主任研究官、関山剛 同主任研究官、石塚正秀 香川大学教授、恩田裕一 筑波大学教授らの研究グループは、森林環境での降水が、原発事故由来の放射性セシウムを含む真菌類の大型胞子の放出を強めることを新たに発見しました。
本研究成果は、降雨はエアロゾルを大気から取り除くだけでなく、反対にエアロゾルを大気に放出する役割を果たすという近年提起されている問題に、新たな証拠をもたらすものです。大気中に浮遊する生物系粒子であるバイオエアロゾルのうち、真菌と細菌は、ヒト健康や生態系に影響を及ぼすだけでなく、水蒸気氷結の核となって雲形成にも関わる可能性があるため学術的な関心が高く、関連する森林生態学、気象学、気候学、農学(植物病害)など、真菌類胞子が重要性を有する研究分野への波及効果が大きいと考えられます。
本研究成果は、2020年9月18日に、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。