分解性ポリマーを作る新合成方法 (New synthesis method yields degradable polymers)

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2019/10/28 アメリカ合衆国・マ サチューセッツ工科 大学(MIT)

A new type of polymer designed by MIT chemists incorporates a special monomer (yellow) that helps the polymers to break down more easily under certain conditions.

 ・ MIT が、人体や環境で分解し易いポリマーの合成方法を開発。
・ 開環メタセシス重合(ROMP: ring-opening metathesis polymerization,)と呼ばれる化学反応は、ナノフ ァブリケーション、高性能樹脂、薬物伝達や造影剤等の多用途ポリマー構築で有用だが、人体等の自 然の環境下では分解しないことが難点の一つ。
・ 新合成技術では、ポリマーを生成する一般的な ROMP のプロセスに 新タイプのモノマーを加えて分解し易さを向上。同モノマーは、弱い酸、塩基、フッ化物のようなイオン 等で分解できる化学結合を作る。医療アプリケーションだけではなく、使用後に急速分解する産業用 ポリマー合成等、多様な活用が可能。
・ ROMP 合成によるポリマーで最も一般的な構成要素は、ノルボルネンと呼ばれるモノマー。容易に 開環する環構造を有し、連なってポリマーを形成する。薬品や造影剤等の分子をノルボルネンに添加 して重合化する。
・ 同合成技術では、がん治療薬の一括輸送や MRI 等への造影剤の運搬に使用できる、線状型、ボト ルブラシ型、星型など様々な構造のポリマーが作製できるが、これらのポリマーは完全な炭素―炭素 結合から構成されるため、すぐに分解できない。
・ このため、体内で除去されやすい、直径約 10 ㎚レベルの微細なポリマーの開発に着手。ノルボル ネン以外のモノマーを使用した、分解しやすいポリマー開発の試みも他にあるが、重合時の効率性が 課題となっている。また、薬品やその他の分子の添加が難しく、分解には厳しい環境を要する。
・ 複雑なモノマーを重合化させるノルボルネンを継続して使用するため、コモノマーとして添加できる 別のモノマーを探求。ポリマーからの薬品の放出を引き起こす方法の研究中に、ノルボルネンに類似 しているが酸素-シリコン-酸素結合を含む環構造モノマーを合成した。
・ シリルエーテルと呼ばれるこのモノマーは、ノルボルネンと同様に ROMP 反応で開環・重合化し、よ り安易に分解する酸素-シリコン-酸素結合のポリマーを形成することを確認。 ・ シリルエーテルモノマーを、ノルボルネンモノマーと 1:1 の割合で添加するだけで、新モノマーが均 一に組み込まれ従来と同様のポリマー構造を形成。6.5 程度の弱酸性の pH でポリマー鎖が崩れ始め た。
・ 同分解性ポリマーは、マウスでの実験において最初の 1~2 週間は従来ポリマーと同様な体内分布 を示したが、直ちに分解を開始。シリルエーテルモノマーの化学組成にもよるが、6 週間後には従来ポ リマーより 1/3~1/10 の濃度に低減した。薬品送達や造影用のポリマーに同モノマーを添加すれば、 より迅速に体内から除去されることを示唆。
・ さらに、同新モノマーをプラスチックや接着剤等の産業用樹脂に添加する研究も開始。同新モノマ ーを産業用ポリマーの製造プロセスに組み込むことは、経済的に実現可能であると考え、MilliporeSigma 社と連携し商業化を目指す。
・ 本研究は、米国立衛生研究所(NIH)、アメリカがん協会(ACS)と、米国立科学財団(NSF)より資金を 得た。
URL: http://news.mit.edu/2019/new-synthesis-method-yields-degradable-polymers-1028

(関連情報)
Nature Chemistry 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Tailored silyl ether monomers enable backbone-degradable polynorbornene-based linear, bottlebrush and star copolymers through ROMP
URL: https://www.nature.com/articles/s41557-019-0352-4
<NEDO海外技術情報より>

Abstract

Ring-opening metathesis polymerization of norbornene-based (macro)monomers is a powerful approach for the synthesis of macromolecules with diverse compositions and complex architectures. Nevertheless, a fundamental limitation of polymers prepared by this strategy is their lack of facile degradability, limiting their utility in a range of applications. Here we describe a class of readily available bifunctional silyl ether-based cyclic olefins that copolymerize efficiently with norbornene-based (macro)monomers to provide copolymers with backbone degradability under mildly acidic aqueous conditions and degradation rates that can be tuned over several orders of magnitude, depending on the silyl ether substituents. These monomers can be used to manipulate the in vivo biodistribution and clearance rate of polyethylene glycol-based bottlebrush polymers, as well as to synthesize linear, bottlebrush and brush-arm star copolymers with degradable segments. We expect that this work will enable preparation of degradable polymers by ROMP for biomedical applications, responsive self-assembly and improved sustainability.