高温環境下での信頼性を保証する自動車、産業用ロボット向け不揮発性メモリ
富士通セミコンダクター株式会社(注1)は、125℃での動作を保証するFRAM(注2)ファミリーとしては最大メモリ容量となる2MビットFRAM「MB85RS2MTY」を開発し、評価サンプルの提供を開始しました。
本製品は125℃の高温環境下においても10兆回のデータ書込み回数を保証する不揮発性メモリです。リアルタイムでの走行データまたは位置データの連続記録が可能で、かつ、停電時でもデータが消えません。したがって、エンジンやモーターによる発熱で高温になる自動車や産業用ロボット向けに最適です。
FRAMは、EEPROMやフラッシュメモリと比べて「高書換え耐性」、「高速書込み」、「低消費電力」の特長で優位性をもつ不揮発性メモリです。これまでに約20年の量産実績をもち、近年はウェアラブルデバイス、産業用ロボット、そしてドローンへの採用実績もあります。
本製品は、2Mビットのメモリ容量をもち、1.8V~3.6Vのワイドレンジの電源電圧で動作するSPIインターフェースのメモリです。-40℃~+125℃の温度範囲において、EEPROMの約1,000万倍となる10兆回の書換え回数を保証しています。動作周波数は、従来品の1.5倍となる最大50MHzに高速化されています。くわえて、本製品の信頼性試験は車載グレードと呼ばれる高品質規格であるAEC-Q100グレード1に準拠しています。
パッケージは、EEPROMと置き換え可能な8ピンSOPに加えて、リード無しの8ピンDFN(Dual Flatpack No-leaded package)も揃えています。
図1:MB85RS2MTYのパッケージ
図2:MB85RS2MTYの用途
当社は、高いデータ書換え性能をもつFRAMをEEPROMの高性能互換メモリとしてカード、産業機器、および民生機器市場に供給してきました。その後、2017年に125℃動作のFRAMの量産を開始して以来、高温動作、高信頼性が必要とされる自動車分野や産業機械分野に対して、高温対応品の提供を拡大しており、今回の2Mビット品の開発に至ります。
図3:125℃動作のFRAMの特長
今後もお客様のアプリケーションの価値と利便性を向上させるために、FRAM技術を適用したプロダクトとソリューションを提供していきます。
主な仕様
- 製品名:MB85RS2MTY
- 容量(メモリ構成):2Mビット(256K x 8ビット)
- インターフェース:SPI(シリアル・ペリフェラル・インターフェース)
- 動作周波数:50MHz(最大)
- 動作電源電圧:1.8V~3.6V
- 動作温度範囲:-40℃~+125℃
- 書込み/読出し保証回数:10兆回(1013回)
- パッケージ:8ピンSOP、8ピンDFN
- 品質規格:AEC-Q100グレード1準拠
注釈
注1 富士通セミコンダクター株式会社:
本社 神奈川県横浜市、代表取締役社長 曲渕 景昌。
注2 FRAM:
Ferroelectric Random Access Memory
強誘電体メモリ。強誘電体膜をデータ保持のキャパシタに利用したメモリ。電源を切っても内容を保持する。データの高速な書込み動作、低消費電力、書換え回数が多いといったROMとRAMの長所をあわせ持つ。FeRAMとも呼ばれる。当社では、1999年より量産開始。
商標
- 記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
本件に関する問い合わせ先
富士通セミコンダクター株式会社
システムメモリカンパニー
マーケティング統括部
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