ハリセンボンをヒントに耐久性に優れた超撥水材料を開発

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高い耐摩耗性・変形耐性を実現、構造材料への適応に期待

2019-09-11   物質・材料研究機構

NIMSは、ハリセンボンの表皮から着想を得た新しい超撥水材料を開発しました。従来材料の致命的な欠点であった摩耗や変形への弱さが大きく改善されたことで、耐久性が求められる構造材料などへの適応が期待されます。

概要

  1. 物質・材料研究機構 (NIMS) は、ハリセンボンの表皮から着想を得た新しい超撥水材料を開発しました。従来材料の致命的な欠点であった摩耗や変形への弱さが大きく改善されたことで、耐久性が求められる構造材料などへの適応が期待されます。
  2. 材料表面が水滴を弾く超撥水性は、水滴付着に由来する汚れや凍結、腐食、菌の繁殖を解決する手法として注目されています。超撥水性を発現させるためにはナノ-マイクロメートルスケールの微細な凹凸構造が必要ですが、擦る、捻る、引っ掻くといった外力が加わると、容易に壊れてしまい、直ちに機能が損なわれてしまうという問題がありました。
  3. 今回NIMSは、ハリセンボンの表皮をヒントにすることで、超撥水材料の致命的な欠点であった耐久性を改善した材料を開発しました。ハリセンボンの表皮は、テトラポッド型の剛直なトゲ (鱗) と柔軟性に富んだ皮膚という相反する力学特性を持った材料からできています。この複合構造に倣い、テトラポット状の無機ナノ材料を柔軟なシリコーン樹脂中に高密度に充填することで、外力が加わっても凹凸構造が常に表面に露出する超撥水材料を開発することに成功しました。
  4. 今回開発した耐久性に優れた超撥水材料は、無機ナノ材料と汎用性樹脂を混ぜて練り合わせるのみで機能が発現することから、従来の樹脂成形や塗装技術を適用することができます。今後、この成果を、流体抵抗を低減するための船底塗料など、“耐久性”がボトルネックとなることで超撥水の実用化が妨げられてきた分野への適用を目指し開発を進めます。
  5. 本研究は、国立研究開発法人物質・材料研究機構 若手国際研究センター山内祥弘 ICYS研究員と、国立研究開発法人物質・材料研究機構 統合型材料開発・情報基盤部門 データ駆動高分子設計グループ 内藤昌信 グループリーダーらの研究チームによって行われました。また本研究は、安全保障技術研究推進制度の一環として行われました。
  6. 本研究成果は、ACS Applied Materials & Interfaces誌にて2019年8月20日にオンライン掲載されました。

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掲載論文

題目 : Durable and Flexible Superhydrophobic Materials: Abrasion/Scratching/Slicing/Droplet impacting/Bending/Twisting-Tolerant Composite with Porcupinefish-like Structure

著者 : 山内祥弘 (NIMS 若手国際研究センター)  / 天神林瑞樹、佐光貞樹、内藤昌信 (NIMS データ駆動高分子グループ)

雑誌 : ACS Applied Materials & Interfaces

掲載日時 : 2019年8月20日

DOI : 10.1021/acsami.9b09524

0502有機化学製品
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