高い透明性と世界最高レベルの遮熱性を両立した革新的な遮熱フィルムを開発

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―クリアガラス対比39%の冷房負荷削減効果を確認―

2019-1-15 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構,

NEDO事業において、東レ(株)は、ガラス並みの透明性と世界最高レベルの遮熱性を兼ね備えた遮熱フィルムを開発しました。

開発した遮熱フィルムは、東レ(株)独自のナノ積層技術をさらに深化させ、革新的な層配列デザインを導入することにより、太陽光の中で、温度上昇の原因となる赤外線を選択的にカットすることに成功したもので、通常のクリアガラス対比39%、市販の高性能・透明遮熱フィルム対比11%の冷房負荷削減効果を確認できました。

今後、同フィルムのさらなる遮熱性能の向上を図り、建物の窓などに貼り付けることにより、空調電力の省エネルギー化の実現、温室効果ガスの削減を目指します。

遮熱フィルムの赤外線カットイメージ図

図1 遮熱フィルムの赤外線カットイメージ

1.概要

現在、地球温暖化を背景に、世界規模で省エネ、CO2削減が求められており、その対策の一つとして建物での冷房負荷の削減に対するニーズが高まってきています。冷房負荷を削減する有効な対策としては、複層ガラスや遮熱フィルムといった太陽からの赤外線をカットするさまざまな遮熱部材が用いられていますが、建物内の環境維持と省エネ推進の観点から、透明性と遮熱性の両立が求められています。

そこで、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム※1」の助成先である東レ株式会社は、従前から未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)の組合員として取り組んでいた「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発※2」事業での遮熱フィルムの成果を活かし、ガラス並みの透明性と世界最高レベルの遮熱性を兼ね備えた遮熱フィルムを開発しました。

今回の遮熱フィルムの開発では、東レ(株)独自のナノ積層技術※3をさらに深化させ、革新的な層配列デザインを導入することにより、太陽光の中の温度上昇の原因となる赤外線を選択的にカットすることに成功しました。その結果、通常のクリアガラス対比39%、市販の高性能・透明遮熱フィルム対比11%の冷房負荷削減効果を確認でき、今後、同フィルムを建物の窓などに貼り付けることにより、空調電力の省エネルギー化の実現、温室効果ガスの削減を目指します。

2.今回の成果

(1)革新的な層配列デザインによる光の選択反射

従来のナノ積層フィルムで用いられる層配列デザインでは、赤外線の反射性能を高めようとすると、原理上、色づきの原因となる可視光の反射も付随して発生します。そこで、フィルム各層の厚みと材料の設計において革新的な層配列デザインを導入し、可視光の反射を抑制しつつ赤外線カット性能のみを向上させ、世界最高レベルの遮熱性を達成しています。

(2)フィルムの高精度積層技術

上述の革新的な層配列デザインでは、数百層もの層の厚みを1層ごとにわずか1nm単位で制御する必要があります。そこで、東レ(株)独自の流動シミュレーション技術に基づく装置設計と、超高精度な製膜プロセスを組み合わせることで、たとえば、1nmの層の厚みでも、フィルム全幅にわたって均一に制御することを可能にしました。これにより、オフィスビルの窓ガラスにも対応できる大面積の遮熱フィルムも提供することができます。

(3)開発した遮熱フィルムによる効果の確認

今回開発した遮熱フィルムについて、東レ(株)の共同研究先である国立研究開発法人 産業技術総合研究所の中部センターにある環境調和実験棟で、冷房負荷の中から日射に起因する成分を取り出す新しい測定手法を用いた遮熱試験を行いました。その結果、通常のクリアガラス対比39%、市販の高性能・透明遮熱フィルム対比11%の冷房負荷削減効果を確認しました。

遮熱試験による冷房負荷削減対比を示す図

図2 遮熱試験による冷房負荷削減対比

3.今後の予定

NEDOと東レ(株)は、今回開発した遮熱フィルムの赤外線反射領域の適正化や可視光線の反射抑制を進め、さらなる遮熱性能の向上を図るとともに、3年後の実用化を目指して開発を進めます。

【注釈】

※1 戦略的省エネルギー技術革新プログラム
事業概要:「省エネルギー技術戦略」で掲げる重要技術を中心とした省エネルギー技術について、技術開発を支援するNEDOのプログラムです。

事業情報: 戦略的省エネルギー技術革新プログラム

※2 未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発
プロジェクトリーダー:小原春彦氏(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 企画本部 副本部長)

事業期間:2013年度から2022年度(うち2013~2014年度は経済産業省にて実施)

事業情報: 未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発

※3 ナノ積層技術
ナノスケール(ナノメートルは10億分の1メートル)の厚さの層を積層する技術です。東レでは、独自の積層技術により、ナノスケールの厚さの層を数百~千層重ねたフィルムで、その層の厚みやその配列デザインにより特定の波長の光を反射させる機能を備えています。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 省エネルギー部 担当:近藤

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、佐藤、藤本

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