~行政実務で必要とされる漢字約6万文字の全てが利用可能に~
2018-1-29 独立行政法人情報処理推進機構
IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:富田 達夫)国際標準推進センターは、2017年12月22日に発行された、国際規格ISO/IEC 10646 (Universal Coded Character Set) 第5版に準拠した漢字約6万文字を全て収蔵した「IPAmj明朝フォント」の整備を完了させ、Ver.005.01として公開しました。
先月22日のISO/IEC10646第5版の発行により、「文字情報基盤整備事業」で整備した漢字(*1)の全てに国際規格による文字符号(文字コード)が付与されました。
これを受け、この文字コードへの対応付けを完了させた「IPAmj明朝フォント」の新バージョン、Ver.005.01(以後、「IPAmj明朝フォント」)を公開しました。
「IPAmj明朝フォント」を最新の国際規格(*2) に対応したパソコンなどの情報機器へ導入することにより、同フォントに収録された全ての文字を活用(*3)できるようになります。
これにより、人名などの正確な表記を一般のパソコンなどで文字化けせずに表示できるようになります。ただし、現在の市販パソコンに同梱されている漢字は約1万文字(JIS第4水準の漢字範囲)程度です。そのため、日常的なメール利用などにおいては、送信先の環境なども考慮し、この約1万字を用いることが推奨されます。なお、この対応付けには、IPAの提供している縮退マップ(*4)を参考にすることができます。
併せて、「MJ文字情報一覧表 Ver.005.02」も公開します。この表には、文字情報基盤整備事業で整備した全ての文字についての文字情報が収録されています。主な文字情報には①戸籍統一文字、②住民基本台帳ネットワークシステム統一文字、③各種漢和辞典の見出し番号、④ISO/IEC10646第5版による文字コード、⑤JISコード、⑥異体字識別用コード(*5)などとの対応関係があります。これらは、文字の検索や、文字コードの変換システムの開発などに活用することができます。
IPAは、「IPAmj明朝フォント」、「MJ文字情報一覧表」が参照されることにより、昨年末に国際規格化を達成した約6万文字の円滑な活用が進み、行政の一層の効率化が図られることを期待します。加えて、民間事業者による豊富な書体デザインのフォント、文字入力のためのカナ漢字変換辞書等の開発が進展し、豊かな文化を支える基盤となることを期待しています。
脚注
(*1) 戸籍統一文字(法務省)と住民基本台帳ネットワークシステム統一文字(総務省)の全てを包含する58,862種の漢字です。
(*2) ISO/IEC10646の拡張領域の(16ビット範囲を超えた領域)文字コードと、IVS(脚注の第5項参照)に対応していることが必要です。現在市販されているパソコンOS、ワープロアプリ等はほぼ対応しています。
(*3) 国際規格に基づいたコードを用いることにより、本フォントに収録された全ての文字の表示や印刷などが行えるようになります。カナ漢字変換や手書き認識等によってワープロ等へ文字を手入力する場合、変換や認識用の辞書が対応した範囲の文字しか入力できません。フォントの導入だけでは辞書は拡張されず、別途辞書の拡張が必要となります。
(*4) http://mojikiban.ipa.go.jp/4144.html
(*5) 字形が類似している等により文字コードでは区別しない文字を区別し、指定するために用いるコード。IVS( Ideographic Variation Sequence: 字形選択子)と呼ばれ、その字形は、Unicode consortiumが運用するIVDサイトに登録することが ISO/IEC10646規格で定められています。文字情報基盤に係るデータは
https://unicode.org/ivd/data/2017-12-12/IVD_Charts_Moji_Joho.pdfに登録されています。
プレスリリースのダウンロード
本件に関するお問い合わせ先
IPA 技術本部 国際標準推進センター 企画グループ 武藤
報道関係からのお問い合わせ先
IPA 戦略企画部 広報グループ 白石