2021-05-31 国立天文台
動画1:すばる望遠鏡からみた、皆既月食中の星空の変化 (480 倍速) (クレジット:国立天文台ハワイ観測所・朝日新聞)
3年ぶりの皆既月食となった 2021年5月25日 (ハワイ時)、すばる望遠鏡からの「星空ライブカメラ」の特別ライブ配信は、月食で刻々と変わる星空の様子を世界中に紹介しました。
この星空ライブカメラは、国立天文台ハワイ観測所と朝日新聞の協力によってすばる望遠鏡に設置された高感度のカメラで、24 時間のライブ配信を行っています。皆既月食のあった 5月25日には、月食の変化を捉えるのに適した方向にカメラの向きを変えて配信を行いました。
動画2:星空ライブカメラが皆既月食中にとらえた流れ星 (クレジット:国立天文台ハワイ観測所・朝日新聞)
また、ハワイ島を拠点とする市民サイエンスプロジェクト「パノプテス (PANOPTES) 」 (注1) では、「星空ライブカメラ」を含む、ハワイ島内の三地点からの配信プロジェクトを一つの配信サイトにまとめて発信しました (Total Lunar Eclipse – Live from Hawaiʻi)。ハワイ島のマウナケア、マウナロア、ワイメアで行われたこれらの配信プロジェクトのいずれにもハワイ観測所のスタッフが参加しています。異なる視野の機材を用いることにより、一つの配信サイトで、星空全体から月のクローズアップまでをまとめて楽しめるようになりました。
図1:市民サイエンスプロジェクト「パノプテス」が捉えた皆既月食。デジタル一眼レフカメラと中望遠レンズを用いて、10×15 度の視野で月食を撮影しました。上の画像は月を中心にトリミングしています。また、月が露出オーバーにならない様に処理したため、月の周囲が暗くなっています。高解像度版はこちら(3.2MB) (撮影地:ハワイ島マウナロア、クレジット:Project PANOPTES)
幸い、ハワイ島は天候に恵まれ、月食の様子を様々な角度から捉える事に成功しました。星空ライブカメラおよびパノプテスのライブ配信は、朝日新聞、timeanddate.com、国立天文台三鷹キャンパスの配信イベントとも提携して配信され、のべ三百万人に迫る視聴者が「スーパームーン月食」と星空を楽しみました。
2021年は 11月にも、「ほとんど皆既」の月食がおこります。ハワイはこの時も最高の条件で月食観測ができます。皆さんお楽しみに!
動画3:市民サイエンスプロジェクト「パノプテス」が撮影したタイムラプス (クレジット:Project PANOPTES)
(注1) パノプテス (PANOPTES、Panoptic Astronomical Networked Observatories for a Public Transiting Exoplanets Survey) は、誰もが簡単に作ることができる低価格の小型ロボット望遠鏡の世界的なネットワークを構築し、トランジット法で太陽系外惑星を検出することを目指した市民科学プロジェクトです。パノプテスには、ハワイ観測所のオリビエ・ギュオン博士が創立者として関わっているほか、マウナケア天文台の複数の職員がメンバーとして活躍しています。