2021-04-16 東京大学
【発表者】
龍 吟(東京大学未来ビジョン研究センター 特任助教)
GUAN Dabo(中国清華大学 教授)
金本 圭一朗(総合地球環境学研究所 准教授)
GASPARATOS Alexandros(東京大学未来ビジョン研究センター 准教授)
【発表のポイント】
東京大学未来ビジョン研究センターの龍 吟特任助教、GASPARATOS Alexandros准教授らの研究グループは、新型コロナウィルス感染拡大初期に発生した家庭部門消費行動の急激な変化に注目し、人々が消費した製品やサービスが生産される過程で発生した二酸化炭素排出量(カーボンフットプリント)について研究を行いました。
- 新型コロナウィルス感染拡大初期(2020年1月~5月)において、活動自粛や緊急事態宣言により、日本の人々の消費行動がどのように変化し、それによってどの程度カーボンプットプリント(注1)が変化したのかを明らかにした。
- 家庭部門のライフスタイルおよび家庭消費パターンは大きく変化したが、家庭消費に由来する二酸化炭素排出量にはほとんど影響が見られなかった。
- 本研究結果は、消費行動の変化が自動的に自然環境にプラスに働くわけではないことを示唆しており、今後の脱炭素化の取り組み方の議論に一考を促す。
(注1)カーボンフットプリント(Carbon Footprint)
直訳すると「炭素の足跡」。広義には特定対象のCO2の排出量(正確には他の温室効果ガスを含めたCO2換算量)を表し、狭義には製品のライフサイクルを通したCO2の排出量を表します。
図:日本の家庭部門の一人当たりカーボンフットプリントのコロナ禍初期と例年(2015~2019)の比較
折れ線はコロナ禍初期のカーボンフットプリントの値、ぬりつぶし幅線は例年の値を表し、青色の線は全体平均、赤色は年齢別を表す。[出典:One Earth ]
論文情報
龍 吟, GUAN Dabo, 金本圭一朗 , GASPARATOS Alexandros *, “Negligible impacts of early COVID-19 confinement on household carbon footprints in Japan,” One Earth: 2021年4月16日, doi:10.1016/j.oneear.2021.03.003.
お問い合わせ先
龍 吟 (東京大学未来ビジョン研究センター 特任助教)