2018/11/05 JAXA
平成30年11月3日(土)に三重県四日市市で、国土交通省による平成30年度大規模津波防災総合訓練が行われ、南海トラフ地震による津波災害を想定した状況で「だいち2号」が、津波による浸水状況の把握手段として利用されました。
国土交通省、三重県は、災害時に人工衛星を用いて被害状況を迅速に把握し、その後の災害対策活動に活用することを目的とした協定をそれぞれJAXAと締結しています。
JAXAは南海トラフ地震のような大規模災害発生時に人工衛星で浸水域、土砂災害等の被災状況を把握するための観測計画を防災関係機関と調整しています。 今回の訓練では会場となった三重県四日市市を含め、濃尾平野から三重県南岸までの広範囲を「だいち2号」で観測した想定で衛星画像等を提供する訓練を行いました。 JAXAは「だいち2号」で災害後の緊急観測を実施した際、災害後の観測画像と災害前の観測画像と比較し、災害前後で変化のある個所が色付けされる画像を作成します。 この画像を解析判読することで浸水範囲の推定を行うことができます。
訓練の中で三重県と国土交通省中部地方整備局はそれぞれ、JAXAから提供を受けた衛星画像用いて災害対策活動に活用する活動を行いました。
三重県は県の災害対策本部にて、衛星画像を県の災害対策活動の基礎資料として利用する訓練が行われました。
訓練の中で国土交通省により、衛星画像が 「統合災害情報システム(DiMAPS)」上にその他の情報と重ね合わせて表示され、衛星から得られる情報の共有に利用されました。 また、国土交通省中部地方整備局では、津波浸水の排水活動を効率化するために「排水状況把握システム」の整備を進めています。 訓練の中で、JAXAから提供される衛星画像が「排水状況把握システム」に取り込まれ、その他の情報などと併せて、浸水域の把握と湛水量の算出のために役立てられました。 さらに、このシステムで共有された浸水状況を元に排水計画が立てられ、「救急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)」による排水ポンプ車が出動し、実際に排水活動を行う訓練が行われました。
大規模な災害は南海トラフ地震の他に、首都直下地震や大型台風又は豪雨による災害なども懸念されています。JAXAは国土交通省や他の関係機関と共に、人工衛星を利用し防災活動を効率化するための取り組みを推進していきます。
【関連リンク】
平成30年度大規模津波防災総合訓練
http://www.tsunamibousai30.jp/
だいち2号が捉える津波浸水
災害前と災害後の観測画像をカラー合成し作成。赤く示される箇所が津波による浸水と推測されます。(訓練用に模擬的に作成)
浸水範囲と湛水量の算出、及び排水計画への利用
だいち2号の観測画像が、中部地方整備局の「排水状況把握システム」で浸水範囲と湛水量の算出に役立てられました。(画像は開発中のものです)
緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)による排水活動訓練
排水状況把握システムで計画された排水計画に基づき、国土交通省の緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)の排水ポンプ車が現地に派遣され、排水活動を行う訓練が実施されました。
【お問い合わせ先】
JAXA 衛星利用運用センター(東京事務所)