2022-05-31 愛媛大学
愛媛大学宇宙進化研究センターの松岡良樹准教授を含む研究チームは、全天で最強の電波を放つ3C273と呼ばれる天体のすぐそばに、淡い電波を放つ構造があることを発見しました。その明るさは3C273の8.5万分の1も暗く、特殊な解析手法によって、これほど明暗の差がある天体を同時に検出することに成功しました。この淡い構造は、3C273の正体であるブラックホール周辺からの強い光が銀河のガスに直接影響を与え、電波を放つことによって見えています。このような構造は可視光では以前から知られていましたが、電波で発見されたのは世界で初めてのことです。
この研究成果は、2022年5月に発行された米国天文学誌『アストロフィジカルジャーナル』に掲載されました (Komugi et al. 2022, “Detection of extended millimeter emission in the host galaxy of 3C273 and its implications for QSO feedback via high dynamic range ALMA imaging”, The Astrophysical Journal, 930巻 3号, doi:10.3847/1538-4357/ac616e)。
論文はフリーアクセスで、 https://doi.org/10.3847/1538-4357/ac616eからご覧になれます。
研究チームは小麦真也(工学院大学)、鳥羽儀樹(国立天文台、京都大学)、松岡良樹(愛媛大学)、斉藤俊貴(国立天文台、日本大学)、山下拓時(国立天文台)から成ります。
左)ハッブル宇宙望遠鏡で観測されたクェーサー3C273。極めて明るいため、望遠鏡内で散乱した光が放射状に漏れている。右下部分に中心核から放出されているジェットが見える。
右)アルマ望遠鏡で観測された3C273の電波画像。ただし中心の明るい部分は差し引かれている。ジェットが右下に明るく伸びているが、今回発見された中心付近の淡く拡がった電波放射はずっと弱い。
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愛媛大学宇宙進化研究センター 准教授 松岡良樹