石西礁湖並びに石垣島及び西表島周辺海域におけるサンゴ群集分布調査について

2018/05/17 環境省

近年、海水温の上昇等に伴う白化現象の発生等により、我が国のサンゴ群集は状況が著しく変化していますが、環境省では、2017年度より我が国におけるサンゴ群集の状況を把握するため、衛星画像及び現地調査をもとにしたサンゴ群集分布調査を進めています。この度、石西礁湖並びに石垣島及び西表島の周辺海域における調査を実施し、同海域におけるサンゴ群集分布図を作成しました。また、1991年、2008年及び2017年におけるサンゴ群集分布調査の結果を比較したところ、石西礁湖及び石垣島周辺海域では、1991年当時と比較して、サンゴ群集の全分布面積に占めるサンゴ被度50%以上の高被度域の割合は、2008年の時点で低下しており、2017年も2008年から大きな変化は見られないことが、西表島周辺海域では、1991年調査ではサンゴ被度50%以上の高被度域が全分布面積の5.5%を占めていましたが、2016年に発生したサンゴの白化現象の影響により、2017年調査では0.1%まで減少していることが明らかとなりました。

1.調査概要

(1) 調査対象海域

石西礁湖並びに石垣島及び西表島の周辺海域 (沖縄県石垣市並びに八重山郡竹富町)

(2) 調査方法

①衛星画像による現況把握

・調査対象海域では、2008年に衛星画像データを用いたサンゴ礁分布図が作成されており、同分布図との比較が可能となるよう2008年と同程度又はそれ以上の衛星画像データ(全可視域バンド及び近赤外バンドを有し、空中分解能は10m以上)を用いることとした。また、同海域では、2016年夏季に大規模な白化現象が広範囲で発生し、多くの場所でサンゴ被度(サンゴ類の着生基質となる底質のうちサンゴ類の被覆率を示す。)が大きく低下したことから、白化後の状態が安定したと考えられる2016年12月以降の衛星画像データを用いることを基本とし、左記データが得られない場合は近時期のものを用いることとした。

・取得した画像データを読み込み、画像処理ソフトを用いて補正等の処理を行った上で、画像分類を行い、暫定サンゴ礁分布図を作成した。

②現地調査による暫定サンゴ礁分布図の確認・補完

・暫定サンゴ礁分布図の分類区分結果を確認・補完するため、2017年12月から2018年1月にかけて現地調査を実施した。

・現地調査のうち、礁湖、礁池については、スポットチェック法(15分間のスノーケリングを行い、サンゴ被度等を目視により観察)により、石西礁湖24地点、石垣島24地点、西表島22地点の計70地点で調査を実施した。また、石西礁湖の礁縁については、調査員曳航法(曳航される調査員が毎2分間の観察を行い、観察結果を船上調査員が記録)により、約57㎞を調査した。

③サンゴ礁分布図の作成

・現地調査結果の他、モニタリングサイト1000サンゴ礁調査等の結果をもとに暫定サンゴ礁分布図の修正を行い、サンゴ礁分布図を作成した(添付資料1(図1))。なお、海底性状区分の凡例は、2008年に作成されたサンゴ礁分布図に準拠した。

2.調査結果(概要)

・調査対象海域を石西礁湖、石垣島周辺海域及び西表島周辺海域の3海域に区分し、海域別のサンゴ分布面積及びサンゴ被度別分布面積をサンゴ礁分布図より求めた(添付資料2(表1及び図2))。

・調査年によってサンゴ礁分布図の作成に用いた画像データ、作図方法等が異なるため、各調査年のサンゴ分布面積は異なっているが、環境庁(当時)が1991年に実施した第5回自然環境保全基礎調査及び環境省が2008年に実施したサンゴ礁マッピング調査での結果をもとに、サンゴ群集の分布変遷の比較を海域別に試みた(添付資料3(図3))。

・その結果、石西礁湖及び石垣島周辺海域では、1991年当時と比較して、サンゴ群集の全分布面積に占めるサンゴ被度50%以上の高被度域の割合は、2008年の時点で低下しており、2017年も大きな変化は見られなかった。また、西表島周辺海域では、1991年調査ではサンゴ被度50%以上の高被度域が全分布面積の5.5%を占めていたが、2016年に発生したサンゴの白化現象の影響により、2017年調査では0.1%まで減少していることが明らかとなった。各海域の概要は、次の通りである。

(1)石西礁湖

①2017年調査結果

・サンゴ分布面積は、6,789haであった。

・サンゴ被度別分布面積では、被度5%未満が4,570ha(67.3%)となっており、全分布面積の約7割を占めている。また、被度5%以上50%未満が2,125ha(31.3%)となっており、被度50%以上は、小浜島と西表島の間に位置するヨナラ水道の東岸や、小浜島の北東に位置する嘉弥真島周辺に見られたものの、全体では94ha(1.4%)となっている。

②分布変遷(1991年-2008年-2017年)

・1991年調査では被度50%以上の高被度域が全分布面積の14.6%を占めていたが、2008年及び2017年の各調査ではいずれも約1%となっている。一方、被度5%以上50%未満の中被度域は、1991年調査では42.6%であったが、2008年調査では29.9%に低下し、2017年調査では31.3%となった。また、被度5%未満の低被度域は、1991年調査では42.8%であったが、2008年調査では69.3%、2017年調査では67.3%となっている。

(2)石垣島周辺海域

①2017年調査結果

・サンゴ分布面積は、4,363haであった。

・サンゴ被度別分布面積では、被度5%未満が3,847ha(88.2%)となっており、全分布面積の約9割を占めている。また、被度5%以上50%未満が452ha(10.4%)となっており、被度50%以上は川平湾付近、石垣市街地付近及び石垣島北部に点在するのみとなり、全体では64ha(1.5%)となっている。

②分布変遷(1991年-2008年-2017年)

・1991年調査では被度50%以上の高被度域が全分布面積の8.6%を占めていたが、2008年及び2017年の各調査ではいずれも1%台となっている。一方、被度5%以上50%未満の中被度域は、1991年調査では6.7%であったが、2008年調査では20.8%に増加した。しかし、2016年に発生したサンゴの白化現象の影響により、2017年調査では10.4%に低下した。また、被度5%未満の低被度域は、1991年調査では84.8%、2008年調査では77.8%であったが、2016年に発生したサンゴの白化現象の影響による被度5%以上50%未満の中被度域の分布面積の減少に伴い、2017年調査では88.2%に増加した。

(3)西表島周辺海域

①2017年調査結果

・サンゴ分布面積は、2,382haであった。

・サンゴ被度別分布面積では、被度5%未満が1,439ha(60.4%)となっており、全分布面積の約6割を占めている。また、被度5%以上50%未満が941ha(39.5%)、被度50%以上が2ha(0.1%)となっている。

②分布変遷(1991年-2008年-2017年)

・1991年調査では被度50%以上の高被度域が全分布面積の5.5%を占めていたが、2016年に発生したサンゴの白化現象の影響により、2017年調査では0.1%まで減少している。一方、被度5%以上50%未満の中被度域は、1991年調査では12.5%であったが、2008年調査では、33.3%、2017年調査では39.5%と増加している。また、被度5%未満の低被度域は、1991年調査では82.0%であったが、その後、回復途上のサンゴ群集の被度が増加したことに伴い、2008年調査では62.2%となり、2017年調査でも60.4%となっている。

(4)石西礁湖の礁縁

・全調査距離56,868mのうち、サンゴ被度別距離の割合は、被度5%未満が28,278m(49.7%)、被度5%以上25%未満が21,271m(37.4%)、被度25%以上50%未満が5,939m(10.4%)、被度50%以上が1,380m(2.4%)となっている(添付資料4(表2及び図4))。

・礁縁別では、ヨナラ水道(東岸・西岸)で被度50%以上の高被度域が計35.1%と多く見られる。

3.今後の対応等について

・今後も引き続き、我が国のサンゴ群集分布域を対象として、衛星画像及び現地調査をもとにしたサンゴ群集分布調査を実施していく予定です。

・当該海域におけるサンゴ群集の動態については、モニタリングサイト1000による調査を通じて注視するとともに、当該海域のサンゴ群集の保全・再生に引き続き取り組んでいきます。

・今回作成したサンゴ礁分布図等は、下記webサイトで公表しています。

http://www.biodic.go.jp/kiso/44/44_kikou.html#mainText

添付資料

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性センター
センター長        川越 久史
専門調査官        齋藤 佑介
担当           近藤 千尋
環境省自然環境局自然環境計画課
課長           奥田 直久
保全再生調整官      岡野 隆宏
海洋生物多様性保全専門官 大澤 隆文