2024-10-15 防災科学技術研究所
防災科学技術研究所は、南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)について、昨年度敷設工事を行った沖合システムに続き、沿岸システムの敷設工事に着手する運びとなりました。
1.内容
国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長:寶 馨、以下「防災科研」という。)は、2019年より文部科学省地球観測システム研究開発費補助金による「南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の構築」事業を実施しています(別紙)。
これまで観測装置の開発・製造や陸上局の整備等を進め、昨年度にはサブシステム(※1)のひとつである沖合システムについて敷設工事を行いました(※2)。このたび、もうひとつのサブシステムである沿岸システムについて、海洋での敷設工事に着手する運びとなりましたのでお知らせいたします。
なお、昨年度敷設工事を行った沖合システムについては本日より防災科研が運用する陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)に統合し、ホームページ上(※3)での観測データ等の公開を開始いたします。
※1 海底ケーブルに地震計や水圧計等を組み入れた観測ノードを繋いだもの
※2 参考 https://www.bosai.go.jp/info/press/2024/20240618.html
※3 URL https://www.mowlas.bosai.go.jp/
2.スケジュール:敷設工事の日程は天候等の理由により変更する場合があります。
2024年10月31日 沿岸システムの敷設工事 開始
2025年1月中旬 沿岸システムの敷設工事 終了
2025年3月末 N-net整備完了
(別紙)南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)について
- 1.はじめに
- 国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、「防災科研」という。)は、陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)を全国で運用しており、2019年からは、文部科学省地球観測システム研究開発費補助金により「南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の構築」事業を実施しています。本事業は、南海トラフ地震の想定震源域のうち観測網が設置されていない西側の海域(高知県沖から日向灘)にケーブル式の海底地震津波観測システムを整備するものです。
- 2.N-netの概要
- N-netは沖合システムと沿岸システムからなる観測網で、それぞれのシステムは海底ケーブルと観測ノードで構成され、2つの陸上局に陸揚げされます。各システムには18台の観測ノードが繋がれており(計36台)、各観測ノードの中には地震を観測する地震計や津波を観測する水圧計等が入っています。
観測ノードにより観測されたデータは、光海底ケーブルで2つの陸上局に伝送され、陸上局からは地上通信回線網によって防災科研のデータセンター等に伝送されます。N-netの整備により、地震の揺れや津波を今までより早く直接検知します。
N-netから得られる観測データにより、地震や津波のメカニズムの解明、リアルタイム予測や長期評価の高度化等を進め、南海トラフ巨大地震発生時の被害軽減や防災科学技術の発展に貢献することを目指しています。
図 南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)イメージ
- 語句説明
- 陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)
防災科研では、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災を契機として、全国の陸域において高感度地震観測網(Hi-net)、全国強震観測網(K-NET)、基盤強震観測網 (KiK-net)、広帯域地震観測網(F-net)の整備・運用を行ってきました。また、16の火山において基盤的火山観測網(V-net)の整備を行い、火山活動を観測しています。
海域においては、2011年3月11日に発生した東日本大震災を受け、日本海溝海底地震津波観測網(S-net)を北海道沖から房総半島沖までの海底に整備し、2016年4月には、紀伊半島沖から室戸岬沖にかけて整備された地震・津波観測監視システム(DONET)が海洋研究開発機構より防災科研に移管されました。
これら全国の陸域から海域までを網羅する「陸海統合地震津波火山観測網」を「MOWLAS」(Monitoring of Waves on Land and Seafloor:モウラス)と呼んでいます。MOWLASとは(地震津波火山観測研究センターのWebサイト)