陽子を含まない原子核の痕跡を原子炉で探す~原子核物理×放射化学の新手法で「0番元素」を探求~

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2023-11-24 京都大学

髙宮幸一 複合原子力科学研究所・工学研究科教授、藤岡宏之 東京工業大学准教授、友松竜太郎 同学士課程学生(研究当時)からなる研究チームは、中性子だけから構成される多中性子原子核を探索する手法として、原子炉の燃料に含まれるウラン235の核分裂における多中性子原子核の放出の有無を調べる実験の原理実証に成功しました。

本研究では、ストロンチウム88を同位体濃縮した炭酸ストロンチウムの試料を原子炉の炉心に長時間挿入し、照射後の試料にストロンチウム91が含まれているかどうかを高純度ゲルマニウム検出器で調べました。その結果、有意な信号は観測されず、ウランの核分裂における4つの中性子からなるテトラニュートロンの生成率の上限を決定しました。

これまでに知られている全ての原子核は正の電荷を持ち、陽子と同じ数の電子を伴って原子を形成しますが、電荷を持たない多中性子原子核は異質の存在と言えます。本研究手法によって、炉心に長時間挿入しても中性子によって放射化しにくい試料の選定が鍵となることがわかったため、今後は原理実証の次の段階として多中性子原子核の探索感度の向上を目指します。

本研究成果は、2023年11月23日に、国際学術誌「Physical Review C」に掲載されました。

文章を入れてください原子炉を用いたテトラニュートロン探索手法の概念図

詳しい研究内容について

陽子を含まない原子核の痕跡を原子炉で探す―原子核物理×放射化学の新手法で「0番元素」を探求―

研究者情報

研究者名:髙宮 幸一

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1103/PhysRevC.108.054004

【書誌情報】
Hiroyuki Fujioka, Ryutaro Tomomatsu, Koichi Takamiya (2023). Search for particle-stable tetraneutrons in thermal fission of 235U. Physical Review C, 108(5):054004.

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