ナノシートの配列制御によって構造色の重ね合わせに成功 ~構造色のデザインに新たな指針・次世代色材の創成に期待~

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2023-10-23 信州大学,科学技術振興機構,理化学研究所

信州大学 学術研究院 繊維学系の佐野 航季 助教(科学技術振興機構 さきがけ研究者)、信州大学 大学院総合理工学研究科 繊維学専攻の小川 大輔 大学院生(修士課程1年)、理化学研究所 創発物性科学研究センター 創発生体関連ソフトマター研究チームの石田 康博 チームリーダー、詹 軼陽 特別研究員(研究当時)らの共同研究グループは、無機ナノシートが水中で周期的に配列した機能性液体に対して、磁場中で「温度グラジエント」を与えることでナノシートの配列を制御でき、色が重ね合わさった複雑な構造色を実現可能であることを見いだしました。

構造色は微細構造に由来する色であり、モルフォ蝶やタマムシに代表されるように、多くの生物や植物が利用している発色原理です。その発色原理は色素や顔料とは異なるため、優れた耐褪色(たいしょく)性、耐久性、環境調和性などの特性を示し、次世代の色材として多様な分野への応用が期待されています。しかし、構造色は微細構造が特定の波長の光を選択的に反射することで生じるため、その色調を自在に設計・制御することは困難です。今回、共同研究グループは、無機ナノシートが水中で周期的に配列した機能性液体に磁場中で温度グラジエントを与えたところ、元々は単色だった構造色が2つの色が重ね合わさった複雑な構造色に変化することを見いだしました。また、この機能性液体を温度グラジエントおよび均一温度で処理することで構造色を可逆的に変化させることにも成功しました。本戦略は構造色を自在にデザインするための新たな指針となり、次世代色材の創成につながることが期待されます。

本研究成果は、2023年10月20日(現地時間)にドイツ化学会の学術誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版に掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ(JPMJPR20A6)およびCREST(JPMJCR17N1、JPMJCR22B1)、日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業(JP22H02057、JP20H02791)などの支援を受けて実施されました。

<プレスリリース資料>
  • 本文 PDF(1.2MB)
<論文タイトル>
“Reconfigurable Photonic Crystal Reversibly Exhibiting Single and Double Structural Colors”
DOI:10.1002/anie.202311451
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
佐野 航季(サノ コウキ)
信州大学 学術研究院繊維学系 助教

<JST事業に関すること>
安藤 裕輔(アンドウ ユウスケ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>
信州大学 繊維学部 広報室
科学技術振興機構 広報課
理化学研究所 広報室 報道担当

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