無秩序だけど揃ってる?常識を覆す構造をもつπ共役ポリマーにより、 環境にやさしい有機薄膜太陽電池の変換効率を1.5倍に向上

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2023-09-22 京都大学

無秩序だけど揃ってる?常識を覆す構造をもつπ共役ポリマーにより、 環境にやさしい有機薄膜太陽電池の変換効率を1.5倍に向上
図1. (a)複素芳香環平面が同一平面上にある(平面性の高い)π共役ポリマーのポリマー鎖、(b)平面性が低いπ共役ポリマーのポリマー鎖、(c)π共役ポリマーの結晶相、(d)π共役ポリマーのアモルファス相、(e)PSTz2のアモルファス状態の模式図。平面性が高いポリマー鎖は剛直なため配列しやすいが、平面性が低いポリマーは柔らかいため配列しづらい。PSTz1は(d)の構造に相当する。PSTz2のポリマー鎖には、平面性が低い部分も含まれるが、大部分は平面性が高いと考えられる。


高分子化学専攻の大北英生教授、広島大学大学院先進理工系科学研究科の尾坂格教授、斎藤慎彦助教、大阪大学大学院工学研究科の佐伯昭紀教授らの共同研究チームは、発電材料であるπ共役ポリマーがアモルファスでありながら有機薄膜太陽電池(OPV)のエネルギー変換効率を高められることを発見しました。

次世代の塗布・フィルム型太陽電池であるOPVは、カーボンニュートラル実現に向けて重要な太陽光発電技術として近年注目されています。同様の塗布・フィルム型であるペロブスカイト太陽電池が発電層に鉛など重金属を含むのに対し、OPVは発電層に有機物のみを用いることから、環境にやさしいことが特長です。OPVの実用化には、エネルギー変換効率の向上が大きな課題の一つです。そのためには、π共役ポリマーの結晶性を高めることが高効率化の鍵と考えられていました。しかし今回、広島大学の研究グループは、アモルファスでもポリマー鎖の平面性が高い特異的な構造を有するπ共役ポリマーを開発することで、変換効率を従来のアモルファスπ共役ポリマーよりも1.5倍まで、また結晶性π共役ポリマーと同様の値まで高めることに成功しました。

本研究成果は、2023年9月21日(木)午後6時(日本時間)にSpringer Natureが発刊する科学誌「Communications Materials」にオンライン掲載されました。

研究詳細

無秩序だけど揃ってる?常識を覆す構造をもつπ共役ポリマーにより、 環境にやさしい有機薄膜太陽電池の変換効率を1.5倍に向上

研究者情報

大北 英生

書誌情報

タイトル
“Ordered π-conjugated polymer backbone in amorphous blend for high efficiency nonfullerene organic photovoltaics”

著者
Masahiko Saito, Hiroya Yamada, Kakaraparthi Kranthiraja, Tsubasa Mikie, Akinori Saeki, Hideo Ohkita, Itaru Osaka.

掲載誌
Communications Materials

DOI
10.1038/s43246-023-00395-y

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