表面張力を無限に大きくする非平衡ゆらぎ

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2023-05-10 京都大学

水面を針でつつくと、針の周りの水面がつられて凹みます。これは、表面積をできるだけ小さくしようとする表面張力による効果です。しかし、針でいくらつついても水面がたわまず、一見柔軟にゆらいでいるのに針を拒む…こんな奇妙なことが非平衡の世界では起こります。

簑口睦美 理学研究科特定研究員と佐々真一 同教授は本研究において、ゆらぎながら成長する一次元界面が、長ければ長いほど表面張力が大きくなる性質を発見しました。増殖する細菌の塊の表面やゆっくりと燃える紙の端などの境界面がその例になっています。このように対象の大きさによって表面張力が変わる現象は、静止している水面のような平衡状態にある界面では決して見られません。

非平衡の世界の物質の性質の研究は比較的最近始まったばかりですが、平衡の世界にはない異常な現象が次々と発見されています。本研究では、このような現象が生じる機構をゆらぎの性質から理論的に説明しており、今後より広い非平衡物質の性質と機構解明への応用も期待されます。

本研究成果は、2023年5月8日に、国際学術誌「Physical Review Letters」にオンライン掲載されました。

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表面張力のイメージ図。「平衡」な境界面に力を加えると、境界面の長さによらずにたわむ(左)が、「非平衡」な境界面は、長ければ長いほどたわまなくなる(右)。

研究者のコメント
「『普通でない振る舞い』はそれ自体好奇心を刺激しますが、翻って『普通の振る舞い』すら実はわかっていないことも多いものです。私は今回の研究を通して、『普通の振る舞い』が何であるかも今一度考えさせられました。『非』=『それ以外』の対象は無限に広く、一歩間違えると迷子になりがちですが、着実に道標を立てながら、この豊かな世界が無機質でシンプルな法則とどう調和しているのか明らかにしていきたいです。」(簑口睦美)

「非平衡ゆらぎによって表面張力が発散する可能性は予想していましたが、実際にそれを示すことは簡単ではありませんでした。地道に丁寧に調べる過程で、次々と鍵となるアイデアが登場して、最終的に大変綺麗な研究結果になりました。」(佐々真一)

詳しい研究内容について
表面張力を無限に大きくする非平衡ゆらぎ

研究者情報
研究者名:佐々 真一

書誌情報
【DOI】
https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.130.197101
【書誌情報】
Mutsumi Minoguchi, Shin-ichi Sasa (2023). Divergent Stiffness of One-Dimensional Growing Interfaces. Physical Review Letters, 130(19):197101.

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