2022-02-28 森林総合研究所
ポイント
・無花粉スギを簡易に DNA 鑑定で識別する⽅法を取りまとめて公開しました。
・DNA 鑑定と組織培養により無花粉スギ苗だけを量産する技術を確⽴し公開しました。
・無花粉スギの苗⽊供給⽅法を開発することで花粉症対策に貢献します。
概要
国⽴研究開発法⼈森林研究・整備機構森林総合研究所、新潟⼤学、新潟県森林研究所、株式会社ベルディの研究グループは、無花粉スギの判別と量産法を確⽴しマニュアルとして公開しました。未熟種⼦を培養し、無花粉スギの原因となる遺伝⼦(MS1)を⽬印として選別して⽤いることで、 ⽣産する苗⽊を全て無花粉スギにすることが可能です。さらに、組織培養技術を活⽤することで試験⽣産にとどまらず、商業規模での⼤量⽣産も可能になります。花粉を⾶散しない無花粉スギ実⽣苗(⽤語解説1)は⼈⼯交配により⽣産されてきましたが、その苗⽊の約半数は花粉を⾶散するスギとなるため、無花粉性の確認に2〜3年を要していました。そこで研究グループは、MS1遺伝⼦をPCRで簡易に判定する技術と、未熟種⼦を⽤いた組織培養により植物体を増殖させる⼿法とを組み合わせることで、無花粉スギを数ヶ⽉で選び出し、その苗だけを⼤量⽣産する技術を確⽴しました。公開するマニュアルはこれらの技術を多くの⼈が使えるようにわかりやすく、かつ具体的に解説したものです。この成果は、スギ花粉の発⽣源を絶つというスギ花粉症の根本的な解決策に貢献します。
マニュアルと関連研究論⽂は、2022年2⽉に森林総合研究所のウェブサイトおよびFrontiers in Plant Science誌からオンライン公開されました。