2021-12-09 アメリカ合衆国・マサチューセッツ工科大学(MIT)
・ MIT が、設計や材料の変更による太陽電池の性能向上を予測する、可微分ソーラーセルシミュレーターを開発。
・ 太陽電池の高性能化を目指した設計や材料の開発は、材料の種類、電池各層の薄さや配置等の多岐にわたる調整可能なパラメータの 1 つに微小な変更を加えながら進める緩慢なプロセスとなっている。
・ コンピューターシミュレーションの利用により、テスト用のデバイスを作製せずに変更点の評価が可能になっているが、このプロセスも緩慢なもの。
・ 新シミュレーターは、1 回につき 1 種類の太陽電池設計を評価しながら、改善に通じる変更点の情報を提供し、優れた設計の発見を飛躍的に加速する。
・ 従来のソーラーセルシミュレーターは、太陽電池の設計からエネルギー変換効率を予測。新シミュレーターでは、変換効率予測に加え、入力したパラメータが予測結果に与える影響を明確化し、デバイスの改善に至る経路を提示する。
・ より高性能のデバイスをより迅速に発見するためのツールとして、シミュレーション実施回数を低減すると共に、複雑すぎて埋もれていたユニークな材料パラメータを特定する。
・ 新シミュレーターは、オープンソースツールとして産業の研究開発にすぐに活用できる。最適化アルゴリズムや機械学習システムと組み合わせることで、多岐にわたる変更点を高速評価し、最も期待できる結果を迅速に提示する。
・ 現時点では 1D シミュレーションツールだが、今後は 2D、3D への拡張を予定。1D バージョンであっても現行の太陽電池の多くを網羅できる。多種類の材料を使用するタンデム太陽電池のシミュレーションには未対応だが、各セルの個別にシミュレートすることは可能。
・ 本研究は、Eni S.p.A(イタリア半国有石油・ガス会社)、MIT Energy Initiative および MIT Quest for
Intelligence が一部支援した。
URL: https://news.mit.edu/2021/simulator-photovoltaic-cells-development-1209
<NEDO海外技術情報より>
(関連情報)
Computer Physics Communications 掲載論文(フルテキスト)
∂PV: An end-to-end differentiable solar-cell simulator
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0010465521003441?via%3Dihub
Abstract
We introduce ∂PV, an end-to-end differentiable photovoltaic (PV) cell simulator based on the drift-diffusion model and Beer–Lambert law for optical absorption. ∂PV is programmed in Python using JAX, an automatic differentiation (AD) library for scientific computing. Using AD coupled with the implicit function theorem, ∂PV computes the power conversion efficiency (PCE) of an input PV design as well as the derivative of the PCE with respect to any input parameters, all within comparable time of solving the forward problem. We show an example of perovskite solar-cell optimization and multi-parameter discovery, and compare results with random search and finite differences. The simulator can be integrated with optimization algorithms and neural networks, opening up possibilities for data-efficient optimization and parameter discovery.