世界初、ラックサイズで大規模光量子コンピューターを実現する基幹技術開発に成功

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光ファイバー結合型量子光源を開発

2021-12-22 日本電信電話株式会社,東京大学,理化学研究所,科学技術振興機構

ポイント
  • ラックサイズで大規模光量子コンピューターを実現するための基幹デバイスとなる光ファイバー接続型高性能スクィーズド光源モジュールを実現しました。
  • 開発した光ファイバー結合型量子光源モジュールと光通信用光学部品を用いることで、6テラヘルツ以上の広帯域にわたって量子ノイズが75パーセント以上圧搾された連続波のスクィーズド光の生成に、世界で初めて光ファイバー光学系で成功しました。
  • 本成果は光通信デバイスを用いた安定的かつメンテナンスフリーな閉じた系において、現実的な装置規模での光量子コンピューター開発を可能とし、実機開発を大きく前進させます。

日本電信電話株式会社(以下 NTT、代表取締役社長:澤田 純、東京都千代田区)は、東京大学(以下 東京大学、総長:藤井 輝夫、東京都文京区)、理化学研究所(以下 理化学研究所、理事長:松本 紘、埼玉県和光市)と共同で、ラックサイズの大規模光量子コンピューター実現の基幹技術である光ファイバー結合型量子光源(スクィーズド光源)を開発しました。

量子コンピューターは、重ね合わせ状態と量子もつれ状態という量子力学特有の現象を利用した超並列計算処理が可能なことから、世界各国で研究開発が進められています。現在さまざまな方式が考案され、その中でも光の量子である光子を用いて計算する光量子コンピューターには多くの強みがあります。例えば、他の方式で必要とされる冷凍・真空装置が不要なため、実用的な小型化が可能です。また、時間的に連続的な量子もつれ状態を作ることで、集積化や装置の並列化なしに量子ビット数をほぼ無限に増すことができます。加えて、光の広帯域性を生かした高速な計算処理も可能です。さらに、1つの光子で量子ビットを表すのではなく、多数の光子で量子ビットを表す手法を用いれば、光子数の偶奇性を用いた量子誤り訂正ができることも理論的に示されています。この方式は光通信技術とも親和性が高く、通信波長帯の低損失な光ファイバーや光通信で培われた高機能な光デバイスを用いることができ、実機構築に向けた飛躍的な発展が期待できます。

しかし、この光量子コンピューターにおいて量子性の源となるスクィーズド光は生成が難しく、これまで光通信波長帯で動作する光ファイバー結合型の高性能な量子光源が存在しませんでした。スクィーズド光は偶数個の光子流であり、かつ量子ノイズが圧搾された特殊な状態の光で、量子もつれ状態生成の源となります。また、光子数の偶奇性を利用することで量子誤り訂正が可能になることから、スクィーズド光は量子誤り訂正においても極めて重要な役割を担います。これらの実現には多光子成分においても偶数性を保ち、高い量子ノイズ圧搾率を有する光が必要です。例えば大規模量子計算を実行できる時間領域多重の量子もつれ(2次元クラスター状態)の生成には、65パーセントを超える量子ノイズ圧搾率が求められます。

今回、光通信波長で動作する光ファイバー結合型量子光源を新たに開発し、光ファイバー部品に閉じた系で、6テラヘルツ以上の広帯域にわたって量子ノイズが75パーセント以上圧搾された連続波のスクィーズド光の生成に世界で初めて成功しました。これは光量子コンピューターにおける基幹デバイスが、光の広帯域性を保ったまま光ファイバーと相互接続性のある形で実現できたことを意味します。これにより、光ファイバーおよび光通信デバイスを用いた安定的かつメンテナンスフリーな閉じた系において、ラックサイズの現実的な装置規模での光量子コンピューター開発を可能とし、実機開発を大きく前進させることができます。

本成果は、2021年12月22日(米国時間)に米国科学誌「Applied Physics Letters」において掲載されます。また本論文は「Editor’s Pick」論文に選出されました。

本研究は、科学技術振興機構 ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」(プログラムディレクター:北川 勝浩 大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授) 研究開発プロジェクト「誤り耐性型大規模汎用光量子コンピュータの研究開発」(プロジェクトマネージャー(PM):古澤 明 東京大学 大学院工学系研究科 教授)による支援を受けて行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Fabrication of low-loss quasi-single-mode PPLN waveguide and its application to a modularized broadband high-level squeezer”
DOI:10.1063/5.0063118
<お問い合わせ先>

<JST事業に関すること>
小西 隆(コニシ タカシ)
科学技術振興機構 挑戦的研究開発プログラム部

<報道担当>
日本電信電話株式会社 先端技術総合研究所 広報担当
東京大学 大学院工学系研究科 広報室
理化学研究所 広報室 報道担当
科学技術振興機構 広報課

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