3Dプリントで和牛の”サシ”まで再現可能に ~金太郎あめ技術のテーラーメイド生産でたんぱく質危機を救う~

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2021-08-24 大阪大学,弘前大学,大阪工業大学,凸版印刷株式会社,キリンホールディングス株式会社,科学技術振興機構

ポイント
  • 和牛肉の組織構造を設計図に、3Dプリントで筋、脂肪、血管の線維組織ファイバーを作製して束ねることで、複雑な和牛肉の構造をテーラーメイドで作製できる技術を開発しました。
  • これまで報告されている培養肉のほとんどは筋線維のみで構成されるミンチ様の肉であり、肉の複雑な組織構造を再現することは困難でした。本研究では、筋、脂肪、血管という異なる線維組織を3Dプリントで作製し、それを金太郎あめのように統合する「3Dプリント金太郎あめ技術」を開発しました。これにより、肉の複雑な組織構造をテーラーメイドで構築できるようになりました。
  • 今後技術の改善により、和牛の美しい“サシ”などさらに複雑な肉の構造の再現や、脂肪や筋成分量の制御による微妙な味、食感の調節も可能になります。また、3Dプリント以外の筋、脂肪、血管細胞の培養プロセスも含めた自動装置を開発できれば、場所を問わずどこでも培養肉の作製が可能となり、SDGsへの大きな貢献が期待されます。

大阪大学 大学院工学研究科の松崎 典弥 教授、Dong-hee Kang(ドンヒー カン) 特任研究員(常勤)、大学院生のHao Liu(ハオ リュウ)さん(博士前期課程)、凸版印刷株式会社(大阪大学 大学院工学研究科 先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座)の北野 史朗 招へい准教授、入江 新司 招へい准教授、Fiona Louis(フィオナ ルイス) 特任助教(常勤)、弘前大学 大学院医学研究科の下田 浩 教授、日本ハム株式会社 中央研究所の西山 泰孝 研究員、キリンホールディングス株式会社 キリン中央研究所の野澤 元 主任研究員、柿谷 誠 研究員、株式会社リコー・リコーフューチャーズ BUバイオメディカル事業部の高木 大輔 研究員、リコージャパン株式会社 PP事業部の笠 大治郎 グループリーダー、大阪工業大学 工学部生命工学科の長森 英二 准教授の研究グループは、和牛肉の複雑な組織構造を自在に再現可能な「3Dプリント金太郎あめ技術」を開発することで、筋、脂肪、血管の線維組織で構成された和牛培養肉の構築に世界で初めて成功しました。

これまで報告されている培養肉のほとんどは筋線維のみで構成されるミンチ様の肉であり、肉の複雑な組織構造を再現することは困難でした。

今回、松崎教授らの研究グループは、筋、脂肪、血管という異なる線維組織を3Dプリントで作製し、それを金太郎あめのように統合して肉の複雑な構造を再現する「3Dプリント金太郎あめ技術」を開発しました。これにより、肉の複雑な組織構造をテーラーメイドで構築できるようになりました。和牛の美しい“サシ”など複雑な肉の構造を再現できるだけでなく、脂肪や筋成分の微妙な調節ができるようになると期待されます。

本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」に、2021年8月24日(火)に公開されます。

本研究は、JST 未来社会創造事業の「持続可能な社会の実現」領域 探索研究「組織工学技術を応用した世界一安全な食肉の自動生産技術の研究開発」の一環として行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Engineered Whole Cut Meat-like Tissue by the Assembly of Cell Fibers using Tendon-Gel Integrated Bioprinting”
DOI:10.1038/s41467-021-25236-9
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
松崎 典弥(マツサキ ミチヤ)
大阪大学 大学院工学研究科 教授

下田 浩(シモダ ヒロシ)
弘前大学 大学院医学研究科 教授

長森 英二(ナガモリ エイジ)
大阪工業大学 工学部 生命工学科 准教授

野澤 元(ノザワ ハジメ)
キリンホールディングス株式会社 キリン中央研究所 主任研究員

<JST事業に関すること>
今林 文枝(イマバヤシ フミエ)
科学技術振興機構 未来創造研究開発推進部

<報道担当>
大阪大学 工学研究科 総務課 評価・広報係
凸版印刷株式会社 広報本部
弘前大学 医学研究科総務グループ 総務担当
学校法人常翔学園 広報室(大阪工業大学 担当)
科学技術振興機構 広報課

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