日本の多国籍企業における海外研究開発と特許出願[DISCUSSION PAPER No.198]の公表について

ad
2021-07-15 科学技術・学術政策研究所

本研究では、多国籍企業内における国境を越えた研究開発(R&D)活動の配分とR&D成果との関係を分析しました。分析の結果、知識フロー・ネットワークの中心性が高い国・産業により多くのR&D活動を配分している多国籍企業ほど、質を考慮した特許出願数が多くなることが分かりました。このような場所でより重点的にR&D活動を行うことが、質の高い成果につながることが示唆されました。

日本の多国籍企業における海外研究開発と特許出願[DISCUSSION PAPER No.198]の公表について
図表 1:知識フロー・ネットワーク中心性と、日本の製造業多国籍企業の R&D オフショアリング

日本の多国籍企業における海外研究開発と特許出願

文部科学省 科学技術・学術政策研究所 第 1 研究グループ

要旨

本稿では、多国籍企業内における国境を越えた研究開発(R&D)活動の配分と R&D 成果との関係を分析する。より具体的には、R&D 成果を特許出願数やその質の指標を用いて計測し、知識フロー・ネットワークの中心により近い国・産業により多くの R&D を配分することが、多国籍企業の R&D 成果につながるのかどうかに注目する。我々は、日本の製造業多国籍企業について、本社企業とその海外現地法人の企業レベルのデータに、各多国籍企業の特許出願状況を接続したデータセットを用いる。さらに、世界各国で出願された特許の引用情報を用いて、世界の知識フロー・ネットワークを可視化し、そこから各国・産業のネットワーク中心性指標を計測する。
固有ベクトル中心性指標を用い、この中心性が高い国・産業ほど、より多くの国・産業と特許の引用・被引用関係を持ち、世界の知識フロー・ネットワークの中でより中心に近いと解釈する。
本稿の分析によると、知識フロー・ネットワークの中心性が高い国・産業により多くの R&D 活動を配分している多国籍企業ほど、質を考慮した特許出願数が多くなることが確認された。一方、質を考慮しない特許出願数と、R&D の配分との間には、統計的に有意な関係は見いだされなかった。

Global Knowledge Flow and Japanese Multinational Firms’ Offshore R&D
Allocation and Patenting
First Theory-Oriented Research Group, National Institute of Science and Technology
Policy (NISTEP), MEXT

ABSTRACT

This paper examines whether allocating more research and development (R&D) activities to a country-industry pair with a higher intensity of knowledge flows improves the innovation performance of multinational enterprises (MNEs).
We use the number of patent applications as a proxy for innovation outcome and construct firm-patent-matched data for Japanese manufacturing MNEs, including data on MNEs’ offshore R&D expenditure and information on patents filed by both parent firms and overseas affiliates. Moreover, as a proxy for the intensity of knowledge flows, we use the eigenvector centrality of each country-industry pair in the global knowledge flow network, utilizing patent citation information.
We find that the quality-adjusted number of patent applications tends to be higher for MNEs that allocate more R&D activities to country-industry pairs that are more central in the network of global knowledge flows. However, we did not find any significant relationship between the country and industry distribution of offshore R&D and the number of patent applications.

詳細については,以下のリンクより御覧ください。

要旨[241KB]

概要[282KB]

報告書全文(英文)[2MB]

科学技術・学術政策研究所のライブラリは、システム更新のため7/6-9/16までの間は情報が更新されません。この間に公開したレポート等は科学技術・学術政策研究所のウェブサイトで公開します。
Library: https://nistep.repo.nii.ac.jp/

1500経営工学一般
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました