豚肉の食味に及ぼす脂肪酸組成の影響も示され、肉質向上へ
2021-04-19 家畜改良センター
この度、(独)家畜改良センター(福島県西郷村、理事長 入江正和)は、(公社)日本食肉格付協会(東京都、会長 大野高志)と共同で、食肉市場の枝肉ラインで豚肉の脂肪質のうち脂肪酸組成を迅速測定することに成功し、さらに豚肉の脂肪酸組成が食味に影響を及ぼすことを公表しました。
<ポイント>
・食肉市場で牛枝肉用として普及している携帯型近赤外光ファイバ装置に、今回開発した豚脂肪質用ソフトを適用することで、温枝肉・冷却枝肉のどちらでも、また皮下脂肪、腹部脂肪いずれの部位でも、豚肉をミンチにすることなく(非破壊)かつ迅速な脂肪酸組成の評価が可能となりました。
・さらに官能評価試験から、豚肉脂肪においてリノール酸などの多価不飽和脂肪酸含量が高いとオフフレーバー(好ましくない臭い)が増加しやすいこと、さらにオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸含量はよい香りに寄与する可能性があることを認めました。
・今後、食肉市場で測定された脂肪酸組成データを生産者にフィードバックすれば、飼養技術の改善や種畜の選択などにより、食味に関係する脂肪酸組成の向上が可能となります。また、デュロック交雑種(LWD 等)では P.M.S.(豚脂肪交雑基準)や筋肉内脂肪含量(光学測定可能。実証中)に、脂肪酸組成の特徴を持たせたブランド豚の作出も可能となります。