デバイス製造装置向け排ガス除害装置の開発に成功 ~危険なガスを高効率・省エネに無害化~

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2021-03-30 科学技術振興機構

ポイント
  • エレクトロニクス産業の製造工程で用いる毒性や可燃性がある排ガスの処理には、無害化による大気汚染防止に加え、高い省エネルギー性能も求められている。
  • 排ガス処理装置の配管内を減圧することで、可燃性のシランガスを安全に取り扱うための窒素ガス希釈を不要とし、処理に必要なエネルギーを約75パーセント削減した。
  • シランガス以外の希釈が必要な可燃性ガスにも利用が容易で、シリコンウェハーの水素処理やエピタキシャル成長など水素ガスを使用する製造装置への応用が期待できる。

JST(理事長 濵口 道成)は、研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 企業主導フェーズ NexTEP-Aタイプの開発課題「減圧プラズマによる高効率除害装置」の開発結果を成功と認定しました。この開発課題は、東京大学 大学院工学系研究科 一木 隆範 教授の研究成果をもとに、平成29年6月から令和2年5月にかけてカンケンテクノ株式会社(代表取締役社長 今村 啓志、京都府長岡京市神足太田30-2、資本金1千万円)に委託し、同社において企業化開発を進めていたものです。

半導体やフラットパネルディスプレイ、太陽電池などのエレクトロニクス産業の製造工程では、シランガスや水素ガスなど毒性や可燃性を持つ危険なガスを使用します。現在、これらの危険なガスの無害化には、1000度以上に加熱し分解する熱酸化反応が主に利用されています。例えば、半導体の化学気相合成法(CVD)プロセスで多用されるシランガスは、空気と触れることで爆発的な反応を起こすため、爆発下限界以下の濃度となるように大量の窒素ガスで希釈した上で、高温処理し無害化しています。従来は、加熱手段の効率向上や放熱などの無駄なエネルギーを削減する反応炉の構造の開発にとどまり、省エネルギーを実現する抜本的な技術開発が重要な課題となっていました。

本開発では、爆発下限界が可燃性ガスの圧力に依存することに注目し、希釈ガス量を削減できる圧力条件を検討してきました。デバイス製造装置のポンプ出口から排ガス処理装置に至る配管内を10キロパスカル程度まで減圧することで爆発下限界を引き上げ、化学反応しない環境を作りました。さらに、排ガスを分解する熱源として、通常は大気圧で発生させるアークプラズマを、0.1~10キロパスカル程度の減圧状態でも安定して発生させられる最適条件を見いだしました。これにより、減圧状態の排ガス処理装置内にて、アークプラズマ熱源により危険なガスを酸素と熱反応させることで無害化処理を可能としました。CVDプロセスで大量の窒素ガスによる希釈が不要となるため、シランガスの処理では、排ガス処理に必要なエネルギーを最大約75パーセント削減できました。

本開発の除害装置は、シランガス以外の窒素ガス希釈が必要な可燃性ガスを含む排ガスにも、処理条件を最適化することで装置の構成を変えずに容易に適用できます。シリコンウェハーの水素処理やエピタキシャル成長、有機膜のアッシングなど水素を使用する製造装置への応用が期待できます。

研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)は大学、公的研究機関などで生まれた研究成果を国民経済上重要な技術として実用化し社会に還元することを目指す技術移転支援プログラムです。企業主導フェーズでは、大学などの研究シーズを用いて企業などが行う、開発リスクを伴う規模の大きい開発を支援し、実用化を後押しします。

※A-STEP企業主導フェーズ(NexTEP-Bタイプ/NexTEP-Aタイプ)は、令和2年度より「A-STEP企業主体(マッチングファンド型/返済型)」として公募しています。

URL https://www.jst.go.jp/a-step/

詳しい資料は≫

<お問い合わせ先>

<開発内容に関すること>
柳澤 道彦(ヤナギサワ ミチヒコ)
カンケンテクノ株式会社 開発部

<JSTの事業に関すること>
沖代 美保(オキシロ ミホ)
科学技術振興機構 産学共同開発部

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