霞ヶ浦流域の大気中アンモニア濃度が冬季に高い傾向を解明~富栄養化対策に継続的観測を~

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2020-09-18 京都大学

 福島慶太郎 生態学研究センター研究員、久保田智大 茨城大学修士課程学生(研究当時)、堅田元喜 同講師(研究当時)、国立環境研究所、気象研究所、森林総合研究所らの研究グループは、茨城県の霞ケ浦流域における調査により、同流域の大気中アンモニア濃度が季節風の影響によって空間的に不均一となり、とくに冬季に高くなることを明らかにしました。

 流域の農業・畜産に由来する養分(窒素やリン)の河川などを通じた湖沼への流入が進むと、湖沼のアオコなどが発生しやすくなる富栄養状態となることから、茨城県霞ヶ浦流域でも窒素化合物の流入を減らすためのさまざまな対策が行われてきました。しかし、この他にも、大気を介した窒素流入プロセスとして、大気中アンモニア(NH3)などの反応性の高い窒素化合物が植物の葉や湖沼水面に吸着・吸収(沈着)することが知られていますが、その実態は国内ではほとんど調査されていませんでした。

 そこで本研究グループは、霞ヶ浦流域の36地点に大気サンプラーを設置し、そのうち17地点で最長1年4か月にわたって大気中アンモニア濃度を観測しました。その結果、夏季よりも冬季に農地と湖上で大気中アンモニア濃度が増大するという結果が得られまた。アンモニアの排出源である農地や堆肥舎からは、通常、夏季に揮発しやすいと考えられていましたが、この結果はその従来からの知見を覆すものです。日本の特徴ともいえる秋から冬にかけての農地への堆肥散布と、北寄りの季節風によって高濃度の大気中アンモニアが霞ヶ浦の湖上に流されたことが要因と考えられます。

 本研究成果は、湖沼の富栄養化の対策のために、大気中アンモニアの揮散と移流をモニタリングする必要性を示すものです。こうしたモニタリングは、霞ヶ浦に留まらず、アジア諸国でも農業活動によるアンモニア排出源が主であることから、これらの地域の農業生産と湖沼環境の保全を両立する上で重要なものといえます。

 本研究成果は、2020年8月26日に、国際学術誌「Atmospheric Environment」のオンライン版に掲載されました。

図:霞ヶ浦流域におけるアンモニア排出量の推計マップ(EAGrid2000データセット)とサンプリング地点

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