シミュレーションの精度向上を目指した機内騒音の計測試験を実施

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2020-03-31 JAXA

2019年7~8月および同年12月、JAXA実験用航空機「飛翔」を用いた機内騒音の計測試験を実施しました。この試験では、飛行中の機内音響計測に加えて、飛行中と同じエンジンの回転状態(前に進んでしまうのでブレーキをかけて静止)となるように地上で設定して機内音響計測を行いました。両者のデータを比較することで、飛行中の乱流境界層騒音(いわゆる風切り音)とエンジン騒音を分離でき、精度の高い結果を得ることができます。

試験中、機内にはマイクロホンアレイ(写真2:小型マイクを10センチ間隔で36本配置)を窓際に設置し、窓周辺から伝わる騒音を計測しました。計測データは「近距離音場音響ホログラフィ法(NAH)※」を用いて解析を行います。図1、2は、計測結果の一部です。青い部分は音のレベルが低く、赤い部分は音のレベルが高いことを示しています。このデータからは、低周波帯でアクリルパネル中心部と窓枠部分から大きな音が出ていることがわかります。一方、高周波帯ではアクリルパネル全面から音が出ていますが、遮音材によって遮蔽されている部分は騒音が低減されています。アクリルパネルから騒音が機内に漏れることは予想していましたが、遮蔽材の縁から音が出ていることは、新たな知見です。

JAXAでは、これまでも航空機に関連する騒音を低減する技術の研究開発を行ってきました。今回の機内騒音計測は、「多分野統合シミュレーションシステム(ISSAC)」研究の一環として行った試験です。実地試験分野とシミュレーション分野の専門家が密に連携し、機内で感じるエンジン騒音や風切り音などがどのように伝わるのかなどを解明していくための研究の基礎となるデータ取得を進めています。機内騒音の予測シミュレーションは、今後の航空機の開発設計において活かされ、将来、航空機で移動する際の乗客の快適性を高めることに繋がるものと考えています。

※ 音波の干渉を利用した空間音の強度分布を可視化する手法。

写真1 機内騒音計測時の実験用航空機「飛翔」内部の様子

写真2 等間隔に並べられた36本の小型マイクによるマイクロホンアレイ

図1  低周波数帯域

図2 高周波数帯域

NAH計測による計測結果(抜粋)。赤は窓枠、黒点線はアクリルパネル部分を示す

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