オーストラリア気球実験B18-02の実施終了について
2018-04-10 JAXA
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成30(2018)年4月7日(土)午前5時54分(日本標準時)に、気球によるMeVガンマ線天体国際共同観測を目的として、平成30年オーストラリア気球実験の初号機を、オーストラリア連邦北部準州のアリススプリングス空港敷地内より放球しました。この気球は重量511 kgの観測機器をMeVガンマ線の空気による吸収が少ない高高度に打ち上げることができる満膨張体積500,000 m3(直径105 m)の大型気球です。
気球は、放球2時間20分後に高度39.6 kmで水平浮遊状態に入りました。26時間余の飛翔後4月8日(日)午前10時37分に指令電波により切り離された気球及び搭載機器部は、アリススプリングス南南東約190kmに緩降下しました。
放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速毎秒2.5 m、気温:摂氏16.5度でした。
参考
JAXAでは日本国内での実施が困難な「長時間飛翔」、「陸上回収」、「南天観測」などをキーワードとする大型観測機器による高感度・高統計の科学観測を実施するために、オーストラリアでの気球実験を実施しています。http://www.isas.jaxa.jp/topics/001267.html
B18-02実験は、京都大学が開発した広い視野で明瞭かつ定量性のある画像取得が可能な電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)を用いて、銀河中心領域からの電子陽電子対消滅線やかに星雲の観測を行い、数百keVから数十MeVのMeVガンマ線領域でのイメージング分光天体観測手法を確立することを目的としています。銀河中心の観測には南半球の空から行うことが最適であるほか、観測のためには気球の飛翔時間が長いことが不可欠であること、測定器を陸上回収する必要があることから、オーストラリアでの気球実験として実施しました。
http://www-cr.scphys.kyoto-u.ac.jp/research/MeV-gamma/wiki/wiki.cgi?page=SMILE_2p
リハーサル時の様子 (吊られているのが観測器ペイロード)
放球時の様子
(撮影 京都大学大学院理学系研究科 助教 高田淳史)
満膨張時の様子
(撮影 アリススプリングス在住のDavid McDonald氏)