2021-08-12 京都大学
飯尾能久 防災研究所教授、松本聡 九州大学教授、酒井慎一 東京大学准教授らの研究グループは、満点および0.1満点地震計等による2018年鳥取県中部地震の余震観測データの解析を行いました。その結果、本震の断層の両端付近において、地震前に、断層をすべらせる力が局所的に小さくなっていたことがわかりました。
ある場所で起こりうる地震の最大サイズはどれくらいか?、それは事前に予測可能か?という問題は、地震被害の予測のために重要です。しかし、窓ガラスの破壊が途中で止まらないのに、地震の破壊はどうして止まるのかという問題はほとんどわかっていませんでした。余震の初動分布の詳細な解析により、初めて震源断層の正確な位置、特にその両端の位置を把握することが出来ました。その結果、両端付近において、断層をすべらせる力が局所的に小さかったために、本震の破壊がそこで止まったことがわかりました。このことは、本震の後に、そこで大地震が続発する可能性が極めて低いことも示唆しており、大地震後の地震活動の予測においても重要な知見です。2000年鳥取県西部地震でも同様なことが起こっていた可能性があり、今後は、この現象が普遍的なものかどうかを明らかにして、地震の発生予測に役立てたいと考えています。
本研究成果は、2021年8月6日に、国際学術誌「Communications Earth & Environment」に掲載されました。
図:本研究の概要図
研究者情報
研究者名:飯尾能久